ベトナムと交流拡大へ覚書 首相来県、福田知事と会談

庭園を散策したファム・ミン・チン首相(右から2人目)ら=23日午前11時40分、県公館(代表撮影)

 福田富一(ふくだとみかず)知事は23日、来日しているベトナムのファム・ミン・チン首相と県公館で会談した。観光やビジネスなど各分野で同国と栃木県の連携協力を加速させる認識で一致したほか、同国側の提案を受け、日系企業が多数進出している同国北部のビンフック省と栃木県の交流拡大に向けた覚書を結んだ。

 チン首相や官房長官、外務大臣など総勢46人の来訪団は午前11時半、県公館に到着。福田知事や阿部寿一(あべとしかず)県議会議長らが玄関で出迎え、紅葉が見頃を迎えた庭園を散策後、会談に臨んだ。

 会談には栃木県関係国会議員や経済団体代表も同席した。チン首相は「温かい歓迎に感激している。栃木は文化が豊かで景色も良く、世界遺産もある。交流を強化したい」と述べ、気候変動対策やデジタル分野などでの支援も要請。福田知事は「県として何が協力できるか検討する」と応じた。

 ビンフック省との覚書は、相互理解や経済交流の促進、担当窓口の設置など3項目について記し、福田知事と同省の代表が書面を取り交わした。会談の記念品として県側は益子焼と県産農産品、同国側は陶器と絵画をそれぞれ贈り合った。

 宇都宮市内のホテルで開いた知事主催の昼食会では、県産品をふんだんに使った料理を囲んだ。県側32社、同国側37社が参加した「経済フォーラム」では双方がビジネス環境をPRした。

 県などによると、ビンフック省は首都ハノイに近く、北部経済開発の重点地域の一つとされる。農畜産業も盛んだが、付加価値を生み出す6次産業化は進んでいないとの説明があったという。福田知事は記者会見で「加工などの技術的支援は県として応援できると思った」と述べた。一方、県産品の輸出拡大については具体的な議論に至らなかったといい、同国側の検疫条件の緩和に期待を込めた。

 22日来日したチン首相ら一行は地方視察先の一つとして、ベトナム国籍の住民が多く、一定の経済交流がある栃木県を選んだ。24日午後に岸田文雄(きしだふみお)首相と会談し、25日に離日する予定。

県が覚書を結んだビンフック省

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