「走る車の中から一瞬でこれを判断できるのでしょうか」。JR石川町駅そばの交差点にある道路標識に困惑しているという横浜市南区の女性(61)から「追う! マイ・カナガワ」取材班に調査の依頼が届いた。
女性は毎日曜日、同居する母(87)に会いに来る姉(66)を、夜になると夫(67)と一緒に自宅まで車で送るといい、そのときにこの交差点を通るという。女性は「3人とも標識が判断できないので、いつも手前で降りてもらっています。自宅まで送れず、雨の日や寒い夜は忍びなく思っています」と打ち明ける。
送られてきた写真を見ると、「直進」「直進と左折」の標識には、それぞれ「日曜・休日を除く」「日曜・休日」の時間指定がされている。標識の内容がよく分からなかった記者は現場に向かった。
問題の標識は同市中区石川町2丁目の角に立っていた。周りには商店や住宅が立ち並ぶ。ここを通る人たちは、この標識を理解しているのだろうか?
標識のある交差点名は「諏訪神社前」。女性によると、「近くの(亀の橋にある)お地蔵さんはお賽銭(さいせん)が多く、地域にも役立てられてきた」というのだが、この標識の分かりにくさには神も仏もないじゃないか─。
記者は、しばらく観察することにした。
◆首かしげ、遠回り
ある平日の午後4時すぎ、問題の道路標識がある諏訪神社前交差点を観察していると、赤信号で停車中の車の動きが気になった。運転席の男性と、助手席の女性が2人で標識を眺め、首をかしげている。青信号になると、直進して去った。
20分ほど後、一つ手前の交差点で、歩道に寄せて停車する車に気付いた。窓をノックすると、先ほどの車だった。
共に47歳という夫婦は、15歳の娘を石川町駅まで迎えに来ていたという。「さっき左折したかったけど、曲がって良いのかよく分からないから、随分と遠回りして戻ってきた」。困惑している住民は多いようだ。
男性は「この辺りは難しい標識が多すぎる。“ネズミ捕り”もやっていて、僕らも腹立つことに引っ掛かったことがある」とも。
そう言われてから歩いて回ると、この一帯には、時間指定が複雑な標識がいくつもあることに気付いた。
こういった標識の多さに惑わされ、記者も最初は、別の標識をマイカナに依頼されたものと勘違いして撮影していたほどだ。