コロナ禍であらためて見直される「ウェルビーイング」その理由とは?

直訳すると幸福・健康を意味するウェルビーイングは、WHOが提言した概念であり、「心身、そして社会的にも健康な状態で満足した生活を送れる状態」を指しています。
ウェルビーイングを健康経営の目的の一つと定め、「ウェルビーイング経営」を推進する企業も増えました。
そして最近はコロナ禍のなかで、ウェルビーイングがあらためて見直されています。
今回は、ウェルビーイングがコロナ禍のなかで注目を集めている理由、そして企業での取り組み事例をわかりやすく解説します。

なぜコロナ禍の今「ウェルビーイング」なのか

コロナ禍の今は、テレワークをはじめとして働き方が大きく変わろうとしています。
加えて、人口の約30%が65歳以上の高齢者となり、労働人口が減少傾向にあるなかでは特に若年層の労働者の確保のためにも「健康経営」の重要性が一段と増しています。
こうした社会の要請を受け、ウェルビーイングがあらためて注目されているのです。

ウェルビーイングに取り組むメリットや代表的な事例

ウェルビーイングを行っていくことで得られるメリットには以下があります。

・ 従業員が心身ともに満足して働くことで生産性の向上が見込める
・ 企業負担の医療費の削減
・ 従業員の定着
・ 若年層の人材確保

では実際にウェルビーイングに取り組むうえではどのように進めていけばいいのでしょうか。
代表的な取り組み例を2つ紹介します。

取り組み例① イケア・ジャパン株式会社

小売業を手掛けるイケア・ジャパン株式会社では、以下の取り組みによって「従業員のウェルビーイング実現」を目指しています。

1. コワーカー(一緒に働く仲間を指す。以下同じ)が不安や心配事がある際には、一人で悩みを抱え込まないよう、マネジャーやコワーカーがいつでも相談できる体制を構築
2. コワーカーとの対話や傾聴に関するマネジャー向けトレーニングセッションの実施
3. ヨガやマインドフルネスのセッションの開催
4. メンタルヘルスに関するウェビナーやトレーニングを実施
5. 在宅で受講できるe-ラーニングの提供
6. 有給休暇の取得推進
7. コワーカーに15,000円分の選べるギフトを提供

心身の健康両方にアプローチしている様子がわかりますね。

取り組み例② 株式会社アシックス

スポーツ用品メーカーのアシックスでは、従業員の健康状態を把握するため、健診、ストレスチェックなどに加え、保健師による全社員面談を実施しています。
また、健康状態の改善に向け、以下の施策によってメンタル面とフィジカル面の双方からアプローチしています。

1. ASICS HEALTH CARE CHECK:自社開発の健康増進プログラムを従業員に実施。現在の健康度の評価や将来の健康寿命の予測を行い、無理なく継続可能な個別の健康増進プランを提供
2. 運動推進セミナー:プレミアムフライデーやノー残業デーを活用し、従業員の運動機会を創出できるようなセミナーを実施
3. アシックスアトリウム:本社にあるアトリウムで、仕事の後、スポーツを楽しむ(シャワー完備)
4. メンタルヘルス研修:アシックスグループ全社員にむけて、ラインケアやセルフケアなど統一したメンタルヘルス研修を実施
5. 両立支援:治療と仕事が両立できるよう、主治医・産業医・保健師・所属部署が連携し、専用の管理フォーマットを活用しながらサポート

終わりに

ウェルビーイングや健康経営は、従業員を大事にするということだけではなく、人材確保の観点から企業には必要不可欠な考え方です。
企業としてのPR効果も期待にできますので、積極的な取り組みを推奨します。

<参考>
・ イケア・ジャパン株式会社「イケア、従業員のウェルビーイング実現の取り組みを強化」
・ 株式会社アシックス「アシックスの健康経営」

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