読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。
今回の相談者は、31歳、会社員の男性。毎月の家計は赤字で、ボーナスで補填する生活。妻の出産を機に、教育費とマイホーム購入の資金を作るために家計の見直しをしたいといいますが、何から手をつければよいでしょうか? 家計再生コンサルタントの横山光昭氏が運営する『マイエフピー』のFPがお答えします。
将来の家計設計についてご相談させてください。
現在、専業主婦の妻が妊娠中で、あと3か月ほどで出産予定です。子どもが増えると、今までとお金の使い方が変わってくると思うのですが、今まで家計簿をつけたことはなく、今の家計状況がどんなものかも怪しいと思っています。
貯金もあまりできていません。ですが、子育てをしていくにあたり、自分たちの将来・老後を考え、マイホームを買うべきなのかも考えなくてはいけないと思っています。今のままで私たち夫婦は子育てをし、マイホームを買うこともできるのでしょうか。
もし、子どもにきちんと教育を受けさせ、マイホームを購入することができるようにしていくには、どのようにお金の使い方を変えていくべきなのでしょうか。
【相談者プロフィール】
・男性、31歳、会社員
・妻、29歳、専業主婦
・手取り収入:月収約34万8,000円、年間ボーナス約120万円
・貯金約260万円
・毎月の支出の目安:40万5,000円
【毎月の支出の内訳】
住居費(家賃+管理費):16万5,000円
食費(外食含む):3万2,000円
水道光熱費: 1万1,000円
通信費(スマホ2台・ネット回線):1万7,000円
生命保険料:6,000円
日用品代:6,000円
医療費:4,000円
交通費:2万4,000円
被服費:2万2,000円
交際費:4万3,000円
娯楽費:1万5,000円
し好品(タバコ):8,000円
その他:1万6,000円
奨学金返済(夫婦分):3万6,000円
FP:将来の家計についてということですが、その前に現状の家計状況をしっかりと把握しておきましょう。お伺いした支出をもとに家計表を作成すると赤字のようです。そして、毎月の赤字額はボーナスから補てんされているだろうこともわかります。つまり、今はさほど暮らしには困ってはいないかもしれませんが、これからお金を貯めようと考えると、今のままでは思うようにいかないであろうということにつながっていくのです。これをもとに、今後どうしていくべきか考えてみましょう。
生活が変わったら数ヶ月でも良いので支出を記録しよう
ご相談者の家計の弱点は、ご自身でも理解されているように支出状況の把握ができていないということ。家計簿をつけることは面倒かもしれませんが、これからお子さんも生まれますし、細かくなくて構いませんので、奥様と協力して記録していきましょう。この先、ずっと記録し続けなくてはいけないというわけではなく、家計が落ち着いたらやめても構いません。ただ、家族構成が変わる、住まいの変更、お子様の新入学などでお金の動きが変わるときは、数か月記録することをお勧めします。
支出の記録は家計簿までいかなくても、ノートに書くだけでも十分です。支出状況の把握ができればよいので、手書きが面倒であれば家計簿アプリなどを利用するなど、さまざまな手段からご自分に合うものを検討してもよいですね。
そして記録した支出の内容を振り返り、ご夫婦が何にいくら使って生活しているのかの全体像を把握しましょう。その上で、生活上さほど必要ではないと思える支出を削減する方法を考えていきます。それに対する支出をやめるという判断もあるでしょうし、毎月支出するのではなく、数か月に一度にするなど、頻度を少なくするという支出の下げ方もあります。
支出の削減方法の基本
では、どの支出を、どのように削減するとよいでしょうか。全体的な支出の感想を申し上げると、交通費、被服費、交際費、娯楽費といった、どちらかというと贅沢にかける支出が多いように感じます。もちろん、このような支出は、人脈づくりやスムーズな仕事のために必要なケースもありますから、絶対に削減してくださいというものではありません。ですが、もし、ご相談者や妻にとってさほど必要ではないと判断できる支出であれば、削減できる部分を探してみてはいかがでしょう。
また、どれを削減してよいかわからないという場合、支出の優先順位を検討してみましょう。どうしても必要な支出、例えば食費や日用品代、医療費、水道光熱費などを上位として、次に必要な支出を検討していくのです。そして最下位に近い支出から、支出をやめるか、頻度を下げることができるか検討します。
当たり前に支払っている支出についても検討を
当たり前に支払っている金額を疑うことも重要です。例えば、今、スマートフォンの契約は格安スマホもしくはサブブランドを利用しているようですが、その料金は利用の仕方に合っているでしょうか。2021年は、格安スマホの基本料金自体が下がりました。大手のプランにも、安いプランが出ていますから、再度見直すことで料金を下げられる可能性があります。
また、家賃についても、子育てに向いている環境かなどを再検討し、いまより家賃の安い物件に転居することを考えてもよいかもしれません。元手はかかってしまいますが、長い目で見ると支出の削減効果が出てくるでしょう。
将来の住居購入、子育て費用のために一部運用を取り入れる
支出削減の目標は、毎月の収入の範囲内に支出が収まること。支出にメリハリがつき、ご家族の暮らしにとって必要な支出、そうではない支出の区分けも明確になってくるでしょう。それができればお金が貯まるようになります。
今の貯金額は毎月の収入の7.5か月ほどあります。生活防衛資金がある程度準備できている状況ですから、支出が収入内に収まるようになれば、そのあとは住宅の頭金のため、教育資金のために貯めていきましょう。
貯めるには、貯金もよいですが、つみたてNISA、iDeCoといった積立投資も有効です。教育費、住宅の頭金と分けて貯めるよりも、「蓄え」としてまとめて貯める、もしくは運用していくほうが効率よく貯まります。これから生まれるお子さんの教育資金は、18年後くらいにできていればよいですから、一部は長期運用で作ることを考えてもよいでしょう。
ただ、運用だけでは教育費が必要な時に売却しにくい状況になることもあり得るので、貯金も併用することが大切。住宅の頭金についても同様です。
いくら貯められるかなどは今後の家計改善の状況にもよりますが、やり方次第では教育資金も、住宅の頭金も作ることができるでしょう。まずは不要な支出の削減から取り組み、貯まる家計作りを頑張ってみてください。