【野球】下山の劇的サヨナラ弾で激戦を制し、4冠へ王手 明治神宮野球大会準決勝 神奈川大戦

11月24日(水)明治神宮野球大会準決勝 神奈川大戦 @明治神宮野球場

一振りで試合を決めた

初戦の東農大北海道オホーツク戦をコールド発進で飾った慶大は、ベスト4に駒を進め神奈川大との準決勝に臨んだ。初回、下山悠介(商3・慶應)の内野ゴロの間に先制するものの、直後に失策も絡んで3点を失ってしまう。3回、萩尾匡也(環3・文徳)の本塁打で1点を返すと、続く回に福井章吾(環4・大阪桐蔭)の適時打と渡部遼人(環4桐光学園)の犠飛で逆転に成功する。逆転したのも束の間、5回に2死満塁のピンチを招くと暴投で同点に。その後は両チームの投手陣が踏ん張りゼロ行進が続いたが迎えた9回、1死三塁から下山がサヨナラ本塁打を放ち激闘に終止符。慶大が史上5校目の4冠に王手をかけた。

神大	0	3	0	0	1	0	0	0	0	4
慶大	1	0	1	2	0	0	0	0	2X	6

神大バッテリー:前田、川合、本田、●神野-土井

慶大バッテリー:生井、長谷川、渡部淳、○増居-福井

慶大本塁打:萩尾1号ソロ(3回)、下山1号2ラン(9回サヨナラ)

◆慶大出場選手

1	[8]	渡部遼人(環4・桐光学園)
2	[7]	萩尾匡也(環3・文徳)
H	萩尾匡也(環3・文徳)
3	[5]	下山悠介(商3・慶應)
4	[3]	正木智也(政4・慶應)
5	[4]	廣瀬隆太(商2・慶應)
6	[6]	朝日晴人(環3・彦根東)
7	[9]	橋本典之(環4・出雲)
8	[2]	福井章吾(環4・大阪桐蔭)
9	[1]	生井惇己(総3・慶應)
1	長谷川聡太(経4・慶應)
H	綿引達也(商4・慶應)
1	渡部淳一(政3・慶應)
H	北村謙介(総3・東筑)
1	増居翔太(総3・彦根東)

初戦は二桁安打&完封リレーのコールド勝ちと、王者として圧倒的な強さを見せつけた試合運びとなった。決勝進出をかけて戦うのは中部学院大をコールドで下し、11年ぶりの4強入りを果たした神大。勢いに乗る神大を慶大がどう迎え撃つのかが注目される一戦となった。

生井の先発で試合は幕を開けた

マウンドを託されたのは法大戦以来の先発を務める生井惇己(総3・慶應)。初回、三者連続三振と圧巻の立ち上がりを披露すると、打線が生井の投球に応える。先頭の渡部遼が四球で出塁すると、萩尾が三塁線に絶妙なセーフティバントを決める。スタートを切っていた渡部遼の好走塁もあり無死一、三塁の好機を迎え、下山の併殺崩れの間に幸先良く先制する。しかしその直後、守備の乱れから1死満塁のピンチを招く。勝盛直樹(人2・國學院栃木)は三振に打ち取るものの、前田秀紀(人4・聖光学院)の打席で振り逃げにより走者が生還し同点に。さらに2死満塁から渡邉宏祐(人4・桐光学園)の打球が生井のグラブをかすめて外野へ抜け、2人が生還。この回逆転を許してしまう。

特大の一発を放った萩尾

点差を縮めたい慶大は3回、先頭の萩尾が2球目を捉えると打球はバックスクリーン左に飛び込み1点差に。続く回には、前田からバトンを受けた川合勇気(人3・掛川西)の代わり端を攻め立てる。先頭の橋本典之(環4・出雲)が右翼線を破る二塁打を放つと、福井がバスターを敢行。これが適時打となり同点。さらに生井が右前打で繋ぎ、無死一、三塁から渡部遼の犠飛で勝ち越しに成功する。援護を受けた生井だったが、2本の内野安打と四球で2死満塁のピンチを招くと、暴投で同点のホームを踏まれてしまう。両チームのプライドをかけた戦いは序盤から息もつかせぬ展開となった。慶大は6回から継投に入ると、自慢の救援陣が好投し付け入る隙を与えない。一方で打線は6回、7回と三者凡退に終わり試合は最終局面へ。

正木が4安打の固め打ち

8回、先頭の正木智也(政4・慶應)がこの日4安打目となる右前打で出塁すると、朝日晴人(環3・彦根東)、橋本典の連続安打で1死満塁の好機到来。しかし、続く福井、代打・北村謙介(総3・東筑)が倒れ、勝ち越しとはならなかった。9回には前の試合で好投した増居翔太(総3・彦根東)が相手打線を8球で片付けてサヨナラへの機運を作ると、その瞬間は劇的に訪れた。制球が定まらない神野竜速(人3・西武台千葉)を相手に渡部遼から四球で出塁すると、ボールを弾く間に二塁を陥れる。代打・新美貫太(政4・慶應)が犠打を決め、1死三塁の形を作ると打席には下山。初球の直球を振りぬいた打球は右翼席に飛び込むサヨナラ本塁打となり、3時間近くに及ぶ熱闘に終止符が打たれた。

劇的勝利に喜びを爆発させた

下山の劇的なサヨナラ弾で明治神宮大会連覇へ王手をかけた慶大。4冠がかかる明日の試合に勝利すれば史上5校目、東京六大学勢では初の偉業達成となる。去年の敗戦を糧に先輩たちも成しえなかった3冠を達成し、最後のピースにも手が届くところにある。TEAM2021のラストゲームもエンジョイ・ベースボールを体現し、誇り高き陸の王者に新たな歴史を刻みに行こう。

(記事:小林由和、写真:林亮佑)

◆打撃成績

1	[8]	渡部遼	四球	中飛	中犠飛①	中飛	四球
2	[7]	萩尾	三安	中本①	三併	遊飛
H	新美	一犠打
3	[5]	下山	二ゴロ①	空三振	右飛	左飛	右本②
4	[3]	正木	右安	中安	左安	右安
5	[4]	廣瀬	中飛	左飛	三ゴロ	見三振
6	[6]	朝日	空三振	右飛	空三振	右安
7	[9]	橋本典	左飛	右2	中飛	右安
8	[2]	福井	中安	中安①	右飛	一ゴロ
9	[1]	生井	遊ゴロ	右安
1	長谷川
H	綿引	左飛
1	渡部淳
H	北村	中飛
1	増居

◆投手成績

生井	5	24	90	6	9	2	4	1
長谷川	1	3	13	0	0	1	0	0
渡部淳	2	6	18	1	2	0	0	0
増居	1	3	8	0	1	0	0	0

◆選手コメント

下山悠介(商3・慶應)

なかなか打てていなかったのですが、4年生が作ってくれたチャンスだったので、僕も正木さんに繋ぐ気持ちで打席に入りました。良い結果に繋がって良かったです。一戦必勝の気持ちで最終戦、勝てるように全員で頑張ります。

© 慶應スポーツ新聞会