【九州場所】「覚悟を決めていたと思う」 幕内復帰・阿炎が恩師に届ける10勝目

宇良を破った阿炎(東スポWeb)

恩師にも白星を届ける。大相撲九州場所11日目(24日、福岡国際センター)、幕内阿炎(27=錣山)が幕内宇良(29=木瀬)を突き倒して10勝目(1敗)。取組後は「落ち着いて取ろうと思っていた。勝ち負けは気にせず思い切り相撲を取るだけ」と気持ちを引き締めた。

昨年7月場所中に新型コロナウイルス対策のガイドライン違反(不要不急の外出)が発覚。出場停止3場所の処分を経て、7場所ぶりの幕内復帰を果たした。千葉・流山南高で阿炎を指導した小川清彦氏(明大相撲部総監督)は今場所の活躍に「本当にうれしい。初日に母校の化粧まわしもつけてくれてね」と目を細める。

小川氏は教え子の不祥事に「何をやっているのかなというところ。決まりのある中で破ってしまったのはよくなかった」と話す一方で、処分中も連絡し「心配していたが『しっかりやります。大丈夫です』と言っていた。家族や応援してくれる人たちのために頑張ろうという気持ちが一番だったのでは。周囲への感謝はしっかり理解できる子。こっちが心配している以上に本人は覚悟を決めていたと思う」と思いを感じ取ったという。

その上で「この経験を無駄にせず、つらい時期を過ごしたわけだから忘れず精進し、さらに上を目指してほしい」とエールを送った。全勝の横綱照ノ富士(29=伊勢ヶ浜)と星の差は1つ。優勝争いに踏みとどまることが、何よりの恩返しとなる。

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