コロナ打撃 南島原の道の駅「みずなし本陣ふかえ」 30日で営業終了

11月で営業を終了する道の駅「みずなし本陣ふかえ」=南島原市深江町

 1991年の雲仙・普賢岳噴火災害の学習施設などを備えた長崎県南島原市深江町の道の駅「みずなし本陣ふかえ」が30日の営業をもって終了する。運営する第三セクター「みずなし本陣」(宅島壽雄社長)の臨時取締役会が24日に開かれ、了承された。利用者の減少に加え、新型コロナウイルス禍で打撃を受けた。土石流で被災した家屋を見学できる県設置の被災家屋保存公園や駐車場、トイレは引き続き利用できる。
 道の駅は物販施設を備え99年4月に開業。運営会社などによると、修学旅行や団体・個人客、インバウンド観光客と幅広く利用されたが、昨年は新型コロナの影響で入場者数は前年比55.1%減、ピーク時の6分の1となる15万2千人。売り上げは同50.7%減の9700万円と落ち込んだ。
 単年黒字は昨年までの21年間で計9年のみ。2016年以降は赤字決算。20年決算(19年12月~20年11月)は純損益が2800万円で、債務超過は8200万円。累積赤字は2億8500万円に膨らんだ。5月の株主総会で宅島社長が撤退の意向を示した。
 株主数は宅島建設(雲仙市)や南島原市、島原鉄道(島原市)など計19。南島原市は資本金の約3分の1の2460万円を出資している。
 7月末に運営会社が市や市議会に対し、事業譲渡を求める要望書を提出。市は8月末に「建物は老朽化して価格が算定できない」として、「土地のみ5千万円で引き受ける」と条件を示したが、運営会社は「受け入れられない」と拒否した。
 臨時取締役会後に会見した松本政博市長は「今後は会社の清算に向けた話し合いになる。市としては重要な観光施設を失い、申し訳なく思う。引き続き道の駅として機能するよう、国や県と協議していく」と話した。


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