ゴヤの名画で世界を救おうとした男 秘められた優しいウソと真実描く 「ゴヤの名画と優しい泥棒」予告

2022年2月25日より劇場公開される、今年9月に亡くなったロジャー・ミッシェル監督の長編遺作となる映画「ゴヤの名画と優しい泥棒」の、予告編が公開された。

公開された予告編は、ケンプトン・バントン(ジム・ブロードベント)が裁判官に起訴状を読み上げられる場面から始まり、前代未聞の名画盗難事件の裏側がテンポよく映し出される。「国際的な犯罪組織の犯行」と公表するロンドン警視庁。だが、ケンプトンの要求は老人たちの公共放送の受信料を無料にすることだった。ケンプトンは自らを「理不尽な税金と闘う、私はロビン・フッドみたいだ」と称すが、「ただのバカよ」と一蹴する妻のドロシー(ヘレン・ミレン)。バントン夫妻の軽妙なやり取りが見られる。

コメディタッチの前半から一転し、予告編は夫妻の物語にクローズアップする。「すべては人類のために!」と息まくケンプトンに対して、「家族も守れないくせに」と強く責めるドロシー。ケンプトンの悲しそうな表情からは、長年連れ添う2人の間のしこりが垣間見える。

クライマックスでは、ケンプトンの「弱きを助ける」という信念の強さが描かれる。ケンプトンの弁護人は法廷で、「彼は盗っ人ではありません。ゴヤを借りて世界の弱者を救おうとした」と説く。そしてケンプトンの「人は誰しも孤立する時が来る。だから寄り添う人が必要だ」という言葉が続く。最後には、「怖い絵」の著書・美術評論家の中野京子による、「アガサ・クリスティーのミステリーばりに、アッと驚くサプライズまで用意されているので、お楽しみに!」というコメントが添えられている。

「ゴヤの名画と優しい泥棒」は、1961年に起こった、フランシスコ・デ・ゴヤの名画「ウェリントン公爵」盗難事件を基にした映画。歴史あるロンドン・ナショナル・ギャラリーから名画を盗んだ、60歳のタクシー運転手ケンプトン・バントンを描く。主人公ケンプトンを演じたのは「アイリス」でアカデミー賞助演男優賞を受賞したジム・ブロードベント。妻役を、「クィーン」でアカデミー賞主演女優賞を受賞し、ジャンルを問わずに活躍するヘレン・ミレンが務めている。監督を務めるのは、「ノッティングヒルの恋人」のロジャー・ミッシェル。本作が長編遺作となった。

【作品情報】
ゴヤの名画と優しい泥棒
2022年2月25日(金)TOHOシネマズ シャンテほか全国公開
配給:ハピネットファントム・スタジオ
©PATHE PRODUCTIONS LIMITED 2020

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