ファッションから日本と世界の文化を再発見!文化学園服飾博物館

日本と世界のファッションに触れられる文化学園服飾博物館

日本に来ると、個性的なファッションに身を包んだ人を多く見かけるでしょう。中には、洋服ではなく伝統的な着物姿の人もいます。

日本人にとって、ファッションは自己表現の一部。デザインや生地、現代・伝統要素の組み合わせなど、多彩なこだわりがあります。

日本のファッションの歴史を知りたければ、オススメは東京の「文化学園服飾博物館」。日本だけでなく、世界のさまざまなファッションに触れられる場所です。

設立は100年前!日本の洋服文化を支えてきた文化学園

文化学園服飾博物館は、世界屈指のファッション専門学校「文化服装学院」や「文化ファッション大学院大学」などを運営する学校法人文化学園に付属する博物館です。

文化学園は1923年、洋服のデザインや作り方が学べる日本初の学校として創設されました(当時は「文化裁縫女学校」)。

1920年代は、東京の銀座に「モダンガール」と呼ばれる女性たちが登場した時代です。彼女らは、当時珍しかったショートヘアに、パリ・ニューヨークなどの流行服を身にまとい、自ら仕事をしてお金を稼ぎました。

「モダンガール」の増加とともに、洋服のニーズも拡大しています。それにつれ、服飾職人もたくさん必要になりました。文化学園の設立には、そうした時代背景があったのです。

文化学園は1936年、現在まで続くファッション誌『装苑(そうえん)』を創刊しました。

『装苑』は、家庭で洋服を作る人向けに製図や縫い方など洋服づくりのノウハウを伝えていましたが、時代の流れにあわせ、現在は、ハイファッションを主に扱っています。

文化学園では、優れた実物資料による教育・研究をめざし、さまざまな時代の服を世界中から収集してきました。

これらの一部を展示しているのが、1979年に創設された文化学園服飾博物館です。日常生活に欠かせない衣服を通して、日本と世界の文化に触れられます。

文化学園服飾博物館での年4回の企画展示

文化学園服飾博物館では、常設展示は行わず年に約4回、企画展示が行われます。

春のテーマは例年、ヨーロッパのファッション史。文化学園の教育機関の新入生が、洋服の歴史にまず触れてみる機会として開催されていますが、もちろん観光客も楽しめます。

ここでは、マリー・アントワネットの時代の衣装から、現代ファッションまで、博物館の多彩なコレクションが並びます。

また、技法や色など、様々なテーマで、世界各地の衣装を集めた展覧会も行われます。衣装は基本的に複製ではなく当時のままの状態です。

日本の着物文化にまつわる企画展示が開催されることもあります。

2021年の夏に行われた「再現 女性の服装1500年」

筆者が取材したときは、ちょうど「再現 女性の服装1500年~京都の染織技術の粋」が開催中でした(京都染織文化協会との共催)。

本展示会の第一部では、古墳時代(3~5世紀)から明治時代(1868~1912)初期までの女性の衣服が展示されていました。衣服は京都の染織人が復元したもので、貴族や武家、町人などの社会階級ごとの違いを比較できます。

「鹿の子絞り」の行程が分かりやすい形で紹介されているコーナーも。「鹿の子絞り」は絞り染めの一種で、古くから受け継がれている技法です。

第二部は、伝統的な染織の技法を使った能装束(※1)や婚礼衣装が展示。こちらの展示品は文化学園服飾博物館のコレクションです。

能が盛んだった江戸時代の貴重な装束もあり、能の世界観を表現しようとする繊細な作りには息をのむばかりでした。

データベースでさらに深く知ることができる

展示会のスケジュールは、文化学園服飾博物の公式HPに掲載されています。ファッションに関心のある方は、ぜひ展示品を直接見てみてくださいね。

さらにファッションについて詳しく知りたい方は、文化学園服飾博物館の所蔵品データベースもオススメ。

教育・研究資料として集められた世界各地の衣装の写真を見ることができます。地域・時代別で検索できるほか、衣装のディテールが分かる写真もあり、衣装の研究をする人だけでなく、マンガ家にも活用されているのだとか。

衣服には、デザインや作り方に文化の特徴が現れます。ぜひ、その奥深い世界に触れてみてくださいね。

© 株式会社MATCHA