マッドマックスにも抜擢!ティナ・ターナーが80年代に大復活を遂げた理由は? 11月26日はティナ・ターナーの誕生日

__共有感満載の80年代洋楽ヒット!ビルボード最高位2位の妙味 vol.46
We Don’t Need Another Hero(Thunderdome) / Tina Turner__

80年代の大復活、ティナ・ターナーの右に出るものなし

1960年代から活躍している往年のスターが、様々な状況の下、1980年代に復活を遂げたという例は、誰もがいくつか思い浮かべられるのではないだろうか。

ジェファーソン・エアプレイン(あるいはジェファーソン・スターシップ)がスターシップと改名して全米ナンバーワンを連発したり、

ソニー&シェールとして60年代に人気を博したシェールが70年代前半のソロ時代確立を経て、80年代終盤に3曲のトップ10ヒットを残したり、

スペンサー・ディヴィス・グループの神童と騒がれたスティーヴ・ウィンウッドが80年代にソロとして開花したり、

アメリカを代表するロックグループ、ビーチ・ボーイズがサントラ『カクテル』の収録曲「ココモ」(1988年)で22年ぶりの全米1位を記録したり…

それぞれがドラマティックな背景を擁しているが、そうしたアーティストの中で最もドラマティックな復活を遂げ、60年代以上にキャリアのピークを80年代に据えられたアーティストといえば、ティナ・ターナーの右に出る者はいない。

80年代だけで14曲のヒットソング、映画「マッドマックス」でも準主役

ティナ・ターナーは、アイク&ティナ・ターナーとして1960年に初ヒットを放ち1970年代中盤までコンスタントな人気を得ていた。古き佳きアメリカの高次元なエンターテインメント・ショウビズ界の一角を支える存在であり、ソウル・レビュー形式をなぞったそのパワフルなステージパフォーマンスには大きな定評があった。

そんなティナが、アル・グリーンの1972年の全米1位シングル「レッツ・ステイ・トゥギャザー」をカバー。アルバム『プライヴェート・ダンサー』(1984年)をもって見事な大復活を遂げた。

80年代だけでも14曲のヒットソングを輩出、5曲ものトップ10ヒットを残しており(ナンバーワンも1曲)、結果として60~70年代を上回る実績・世界的人気を獲得。自己キャリアのピークがまさしく80年代に訪れたわけだ。

アルバム『プライヴェート・ダンサー』からの一連のヒット曲「愛の魔力(What’s Love Got To Do With It)」、「あなたのとりこ(Better Be Good To Me)」、「プライヴェート・ダンサー」。それらに勝るとも劣らない共有感を持っているのが、80年代44番目に誕生したナンバー2ソング「孤独のヒーロー(We Don’t Need Another Hero - Thunderdome)」(1985年9月2位)だろう。

世界的大復活を受けて、映画『マッドマックス サンダードーム』(1985年)の主題歌を歌い、準主役に大抜擢されての大ヒット―― 彼女は46歳にして人気絶頂期を迎えたのだ。

ティナ・ターナーの人気復活を裏で支えた立役者は?

ところでティナの人気復活の立役者は、イギリスのプロデューサー / ミュージシャンたちの熱いバックアップによるもの。

本場アメリカのブルース、R&B、ロックンロールに憧憬・敬意を抱くイギリスのミュージシャンは多い。一時代を築きながらも第一線から退いていたティナに “もうひと花咲かせよう” と当時の英国の精鋭たちが集結して作成されたのが『プライヴェート・ダンサー』なのだ。

フィル・コリンズ等をスターダムに押し上げたプロデューサー、ルパート・ハインを筆頭に錚々たるヒットメイカーたち、そしてジェフ・ベック、マーク・ノップラー(ダイアー・ストレイツ)らが参加、ティナのギネス級復活劇は、彼らイギリス勢の存在抜きには語れない。

いよいよ次週トップに到達する勢いの「孤独のヒーロー」がビルボードで最高位2位を記録した週(1985年9月14日付)、実はこのとき、マーク・ノップラーが在籍するダイアー・ストレイツ「マネー・フォー・ナッシング」が3位へと上昇中だった。

既に「愛の魔力」で初の全米制覇を成し遂げていたティナは、次週(9月21日付)「孤独のヒーロー」を4位へと落とし、「マネー・フォー・ナッシング」を1位へと押し上げて、見事ダイアー・ストレイツに初のナンバーワンをもたらしたのだ(その結果、彼らは3週連続1位)。

こうした形できっちりと恩返しを果たしたティナ・ターナー、これはもう天晴れとしかいいようがない。

■ SONG DATA

■ Tina Turner
■ What’s Love Got To Do With It(1984年1位)
■ Better Be Good To Me(1984年5位)
■ Private Dancer(1985年7位)
■ We Don’t Need Another Hero -Thunderdome(1985年9月14日2位)

■ Dire Straits
■ Money For Nothing(1985年9月21日1位)

※2018年1月25日に掲載された記事をアップデート

カタリベ: KARL南澤

アナタにおすすめのコラム睡魔と戦うライヴエイド、眠気を吹っ飛ばしたミック・ジャガーとティナ・ターナー

▶ ティナ・ターナーのコラム一覧はこちら!

80年代の音楽エンターテインメントにまつわるオリジナルコラムを毎日配信! 誰もが無料で参加できるウェブサイト ▶Re:minder はこちらです!

© Reminder LLC