慶大とのシーソーゲームを制し、3回目の出場で初優勝
試合終了と同時にベンチから一斉に飛び出したナインが、マウンドで喜びを分かち合った。25日に行われた第52回明治神宮野球大会の大学の部・決勝戦。中央学院大は、慶大に9-8で逆転勝利し、3度目の出場で初の栄冠を手に入れた。
決して順調な滑り出しではなかった。秋季千葉リーグでは、2節終わって1勝3敗。入れ替え戦の危機すらあった。にもかかわらず、主将の武田登生内野手(4年)は、チームの雰囲気のよさを感じていた。
「1勝3敗の時点で入れ替え戦が頭によぎったが、暗くやってても仕方ない。自分たちの色を出していったらこういう結果になったのでよかった」
リーグ戦では、古田島成龍投手(4年)、山崎凪投手の2枚看板が健闘。打線も負けていられなかった。3敗目を喫した翌日から、毎日1時間半から2時間の打撃練習に打ち込んだ。
決して諦めない姿勢が、大逆転をもたらした。リーグ戦第3節から6連勝して逆転優勝。横浜市長杯争奪関東大学野球選手権も3連勝で初優勝。怒涛の9連勝で、神宮大会の切符を手に入れた。
エース古田島が声でも活躍「たまにアホなこと言うんですけど…」
神宮大会でもその姿勢は変わらなかった。慶大にも4点を先制されたが「自分たちがやってきたことをやれば絶対勝てると信じていました」と武田。1点差の6回1死満塁で左中間に逆転の3点適時二塁打を放った。最後は猛追する慶大を凌ぎ、1点差で勝利した。
諦めない姿勢の根底にあるのは“わっしょい野球”。「どんな場面でも挑戦者の気持ちを持ってやってきた」と自信を持つ。たとえ先制されていようとも、チームは明るかった。
中でも大きな声を出していたのは、エース・古田島。武田は「たまにアホなことを言うんですけど……。あいつの声はチームを元気にさせてくれた」と笑いながら、感謝の意を述べた。
どんな場面でも諦めない姿勢で“陸の王者”を倒した中央学院大。4年生にとっては最後の大会。有終の美を飾り、活躍の場を移す。(川村虎大 / Kodai Kawamura)