「20年後は銀行が無くなっていく」auじぶん銀行の臼井朋貴社長が元日銀副総裁と金融の未来について語る

25日、auじぶん銀行株式会社の社長である臼井朋貴氏は、日本銀行の元副総裁を務めた西村淸彦氏をゲストに迎えた特別対談「金融の未来とauじぶん銀行が担う役割とは~日本経済の“これまで”と“これから”を金融視点で切る~」を都内のKDDIホールで行った。

まず“これまで”の話として西村氏は日本経済には「新市場の創出による新たな付加価値の創造」「生産の絶え間ない効率化・費用削減」という二面作戦で戦える可能性がネットの発展し始めた90年代末にはあったが、金融危機によるリスク回避のため、日本経済は現状維持の守りに入ってしまい、「価格破壊がおき、消費者が求める安い製品を作り続けるようになった」と指摘し、金融に関しても費用の関係などでITに乗り遅れてしまったと語った。

そうした中、じぶん銀行はモバイルバンクとし、スマホに特化して今まで発展し、現在ではスマホ上で住宅ローンの話まで可能になっているということで、臼井氏「手のひらの上の銀行をとして新たな付加価値の創設を目指してきた」と金融の新しい形を今も模索していると語る。現在はネットに特化するだけではなく、高齢者のデジタルデバイスを扱うスキルの低さを是正する環境作りや、お金、特に投資に関する意識の向上のために、子供の頃から関心を持ってもらうと金融教育用アニメ動画を制作して公開するなど、様々な試みをしている。

“これから”の金融について西村氏は「私としては、20年後は今のような形での銀行は無くなっていくのではないかと思っている」と未来を予想する。この発言には臼井氏も「刺激的な発言ですね」と返した。ただ無くなるという表現ではなく「新たな形に生まれ変わると思っています。メガバンクや地方銀行は無くなるかもしれません。また、我々の競争相手も革新的なプラットフォーマーなどになっていくと思います」とした。

また、投資そのものの質の話にもなった。西村氏は「SDGs的な誰も傷つけない投資という考えもあり、安心・安全・納得というのが投資の新しい基準になるのではないか」と未来の投資を予想。臼井氏も「資産を使って貢献できることを考えると、投資のやり方も変わってきます。SDGsとむすびついたシナジーが生まれると思う」と社会貢献も視野に入れた持続可能な投資が発達する可能性について言及した。

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