少人数で歳忘れ(11月26日)

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 「忘年」という言葉は中国の故事「忘年の交わり」に由来する。本来は年齢差を問題にしない「歳[とし]忘れ」の意味だったが、一年の苦労を忘れる「年忘れ」と解釈されるようになったらしい▼鎌倉時代に皇族や貴族が「年忘」という行事で連歌を行ったのが忘年会の始まりともいわれる。職場の同僚や友人同士で宴を催す慣習は、そう古くはない。明治時代に入ると、ボーナスが出た官僚の仕事納めや帰郷前の学生の集まりとして「どんちゃん騒ぎ」をするようになり、今に受け継がれる(新海均編「季語ものしり事典」)▼コロナ禍で二度目の忘年会シーズンを迎えた。感染が下火となり、行動制限の緩和にこぎつけられたのは喜ばしい限りだ。とはいえ、不安と背中合わせに過ごしてきた時間はあまりにも長すぎた。「一堂に集まって飲食すれば、感染リスクが高まるのではないか」。県内の事業所からは悩ましい声が聞こえてくる▼であれば少人数でと、五、六人ずつに分けて開催するケースもある。社員の親睦を深めるとともに、地域経済に貢献したいとの思いからだ。こぢんまりと短時間で、老いも若きも年齢を忘れて一年の労をねぎらい合うのも悪くはない。