河北春秋(11/26):静岡県知事の川勝平太さんは度重なる失言で…

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 静岡県知事の川勝平太さんは度重なる失言でよく知られる人だ。最近は「コシヒカリ発言」で物議を醸しているようで、その発言の全文を地元静岡の放送局のサイトで読んでみた▼先月あった参院補選の応援演説でこう語っている。「あちらはコシヒカリしかない。だから、めしだけ食って、それで農業だと思っている」。同じ県内なのに、ライバル候補の地元を「あちら」と称して、軽んじたかのよう▼意味も分かりにくい。「めしだけ食って」は「めしだけ作って」の間違いか。とすると、米どころの東北人として、黙ってはいられない。稲作の歴史、品種改良の努力、農業の過酷さ。そんな常識レベルの知識さえ、図らずも忘れてしまったらしい▼「菅義偉という人物の教養のレベルが図らずも露見した」。日本学術会議の任命拒否問題で昨年秋、会見で語って批判を浴びている。もともと学者なのだが、学者らしくない粗雑な軽率さを感じる。おととい、静岡県議会は辞職勧告決議をした▼食通で名高い中国の清時代の詩人袁枚(えんばい)。随筆に「めしのうまさは美味の最上であり、おいしいめしがあればおかずはなくていい」。農家の苦心もあって、国内のコメはどれも最上の美味。川勝さんだって、うまいめしの恩恵にあずかっているはずなのだが。(2021.11.26)