独が核禁会議参加へ 県内被爆者ら期待「日本も続いて」

 ドイツが新政権樹立合意に伴い核兵器禁止条約の締約国会議にオブザーバー参加する方針を示した25日、長崎県内の被爆者らは、先進7カ国(G7)の大国の決断を歓迎し、参加に慎重な日本政府の姿勢軟化に期待する声が相次いだ。
 長崎原爆被災者協議会(長崎被災協)の田中重光会長(81)は「英断だ。日本も続いてほしい」と語る。オブザーバー参加に慎重な姿勢を示す日本政府に対し「唯一の被爆国が参加すれば、世界の国々に影響を与える。日米安全保障条約はあるが、独自の方針を示して」と注文した。
 田上富久長崎市長も「G7の主要国が参画することは新しい動き」と強調。日本政府には「一歩踏み出したドイツのように、参加に向けて前向きに、スピード感を持って検討を進めてほしい」と求めた。
 一方、長崎大核兵器廃絶研究センター(RECNA=レクナ)の中村桂子准教授は「日本への圧力の一つだが、楽観視はできない」と受け止める。日本政府について「そもそも(会議に)参加するか、しないかを考えていないように見える」と指摘。ドイツの表明により「真剣に検討せざるを得なくなる状態だろう。これをきっかけに国内議論の進展を目指さなければならない」と話した。

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