「酒蔵ツーリズム」で新たな魅力PRへ 壱岐酒造協同組合が実証実験

壱岐焼酎の製造工程や特徴などについて説明する長田社長=壱岐市芦辺町、壱岐の華

 壱岐酒造協同組合(山内昭人理事長)は、壱岐焼酎の消費拡大や観光との相乗効果などを目的に「酒蔵ツーリズム」の実証実験を進めている。十八親和銀行(長崎市)などと連携し、長崎県壱岐市内7蔵の焼酎がそろう場の設置、酒蔵見学と観光の組み合わせ、壱岐焼酎の新たな楽しみ方の開発などに取り組む。効果や課題を検証し、旅行商品の造成など今後に生かす考えだ。
 実証実験は日本産酒類のブランド化や酒蔵ツーリズムを推進する国税庁のモデル事例構築に向けた調査業務として実施。19日に博多港発着の日帰りモニターツアーがあり、壱岐の華(芦辺町)の酒蔵見学と猿岩や小島神社といった観光スポット巡りを組み込んだ行程に、通訳ガイドやコンサルタントら7人が参加した。
 壱岐の華では、長田浩義社長が壱岐焼酎の歴史、製造工程、特徴などを説明。今回の取り組みの一環で市施設や観光スポットに初めて設けた、7蔵が3点ずつ出品する「壱岐焼酎ミニミュージアム」では各蔵自慢の焼酎を試飲した。参加者は「焼酎の製造場を見たのは初めてで興味深かった」「景色が美しく食事もおいしく魅力的」などツアーを満喫した様子だった。

観光スポット「猿岩」の駐車場に設置された移動式の壱岐焼酎ミニミュージアムを訪れるモニターツアー参加者=壱岐市郷ノ浦町

 また、訪日外国人の誘客や輸出も含めた消費拡大を見据え、焼酎を使ったカクテルや焼酎と合う食事メニューなど新たな楽しみ方も開発。訪日外国人客を想定して実施する、国内在住の外国人対象のモニターツアーでも提供、受け入れられるか確認する。各実証実験のアンケートなどを基に今後の取り組みを検討する。
 山内理事長は「焼酎をきっかけの一つとして、自然、歴史、グルメといった『オール壱岐』の魅力を国内外にPRしたい。新たな切り口で壱岐を発信できるのではないか」と期待。十八親和銀地域振興部副部長で、iBankマーケティング長崎エリアプロデューサーの長尾和弘氏は「壱岐焼酎や壱岐を多くの人に知ってもらい誘客や消費の拡大につなげ、地方創生の取り組みになれば」としている。

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