珍しい!? ダムの上で生まれる雲 国交省職員が撮影

宮ケ瀬ダム上部の天端の下流側(左側)から吹き上がるように発生する雲(国土交通省関東地方整備局相模川水系広域ダム管理事務所提供)

 ダムの上で雲が生まれる? 観光客が行き来する宮ケ瀬ダム上部の「天端(てんば)」と呼ばれる付近で、気象条件により小さな雲が生まれる様子をとらえた珍しい写真を、国土交通省相模川水系広域ダム管理事務所がウェブサイトで紹介している。年に10回程度、天候が崩れそうな時に出現するという。

 同事務所職員の岡﨑均さんが撮影し、2016年の事務所のブログに「雲製造器」とタイトルを付けて紹介した。天端の下流側直下から薄い雲ができ始め、天端上部から噴き出すように上る様子を写した。

 岡﨑さんによると、このような雲が生まれるのは、天候が崩れそうな湿った空気で、下流側からダムに向かって風が吹き上がっている時だという。

 巨大な宮ケ瀬ダムは、ダム下から天端まで標高差が120メートルある。湿った空気が山にぶつかり上昇気流となって雲を作るのと同様に、ダムにぶつかって標高差120メートルを上昇した湿った空気が、天端付近で小さな雲を作るらしい。

 ダムが完成した01年に同事務所で勤務し始めて間もなく、岡﨑さんは初めてこの雲を見た。「最初はびっくりした。今もこの雲が出たときに観光客がいると『わーっ』と声が上がる」。

 岡﨑さんは「宮ケ瀬ダムのみどころ」と題したブログのページ担当しており、ほかにも湖面に霧が生まれる「気嵐(けあらし)」や、連なった雲が湖面を渡る様子を「白龍渡り」と名付けて写真で紹介している。

 新型コロナウイルス禍で観光客数が減ったが、同ダムは14年には190万人以上が訪れた観光名所。「密」を防ぐために、集客を誘発するブログの更新を控えているだけに「早く平常に戻ってほしい」と岡﨑さんは願っている。

 雲が生まれる様子を捉えた写真が掲載されたブログは「宮ケ瀬ダム 雲製造器」で検索。

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