百日紅公園に「嘉代子桜」を植樹 被爆二世の会・諫早、鎮西学院など

植樹された嘉代子桜の苗木=諫早市、百日紅公園

 長崎原爆の犠牲者が荼毘(だび)に付された長崎県諫早市天満町の百日紅(さるすべり)公園に、平和を願う「嘉代子桜」の苗木2本が植えられた。関係者は「平和学習に役立てたい」と思いを新たにしている。
 学徒報国隊員として動員された長崎市の旧城山国民学校(現・市立城山小)で被爆し、命を落とした林嘉代子さん=当時(15)=や女学生らをしのぶ嘉代子桜は、母親が1949年、嘉代子さんが好きだったソメイヨシノの苗木を贈り、約50本が同校に植樹された。今も6本が花を咲かせる。
 同校同窓会などでつくる城山小原爆殉難者慰霊会が、原木から接ぎ木して育てた苗木100本を希望する県内外の自治体や学校などへ提供する取り組みを開始。諫早市の鎮西学院が5本を譲り受け、うち2本が同公園に植えられた。
 諫早駅に近い高台に位置する同公園にはかつて市営火葬場があり、原爆投下直後には救援列車や諫早の救護所などで息絶えた被爆者らが運び込まれた。火葬された遺体は400~500体と伝えられている。戦後、跡地に同公園が整備され、園内には昨年8月、被爆者や2世が中心になって慰霊碑を建立した。
 苗木は高さ約2メートル。長崎被災協・被爆二世の会・諫早と諫早市原爆被災者協議会が21日、公園清掃に合わせて植樹し、鎮西学院大の学生を含む約30人が参加した。同二世の会・諫早の森多久男顧問(66)は「ここに火葬場があったことも忘れられつつある。原爆の悲惨さ、命の尊さ、そして諫早にもこうした史実があったことをこの苗木を通じて子どもたちに伝えていきたい」と話した。

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