70年で1236冊も 沖縄戦関連の書籍がこんなに多いのはなぜ?

 【東京】「出版による沖縄戦継承の現在」をテーマにした企画が23日、東京都中央区の銀座わしたショップ本店で開かれた。毎日新聞大阪本社の元編集局長で現在、琉球新報客員編集委員を務める藤原健さんと琉球新報広告事業局事業統括局長の松永勝利さんが、沖縄戦関連の定番本の紹介など「おきなわ本」を解説した。

 藤原さんは、沖縄に住み始める前年の2015年までに沖縄戦関連の書籍は1236冊が出版されたことに言及。「地上戦は自分の暮らす共同体、家などが戦場になる。至近距離で殺し合いもある。個人の体験もそれぞれ違い、南部、北部と地域でも戦争形態が違う」と指摘。「米軍に保護された時が人々の戦後の始まりで戦争の終わり方も違う」と、体験の違いが多くの出版物を生んだ背景にあると説明した。

 沖縄戦を伝える記念碑的な書籍で藤原さんは3冊を挙げた。沖縄タイムス社編の「鉄の暴風―現地人による沖縄戦記」や仲宗根政善編の「沖縄の悲劇―ひめゆりの塔をめぐる人々の手記」、大田昌秀、外間守善編の「沖縄健児隊」だ。戦記ものと違い「住民視点で、この3冊は事実に則して人権、平和、自立への流れを伝えた」と評価した。

 継承ジャーナリズムの画期的な取り組みで挙げたのは琉球新報社の「沖縄戦新聞」など。「沖縄戦を語り続けなければならないのは過去の過ちをまっとうに反省し、まっとうな展望を開くためだ」と強調し、継承すべき出版物の数々を参加者に紹介した。

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