パストラーナ連勝で選手権首位浮上、僚友スコット・スピード従えスバルが1-2/ナイトロRX第4戦

 かつてのGRCグローバル・ラリークロスやARXアメリカズ・ラリークロスなどを前身とし、2021年9月よりスタートを切った『Nitro Rallycross(ナイトロ・ラリークロス/NRX)』の第4戦がカリフォルニア州南部サンバーナーディーノにあるグレンヘレン・レースウェイで開催され、先週アリゾナ州で実施された第3戦でシリーズ初勝利を飾っていたトラビス・パストラーナ(#199/スバルWRX STIスーパーカー/スバル・モータースポーツUSA)が連勝。僚友のスコット・スピード(#41/スバルWRX STIスーパーカー)を従えて1-2フィニッシュを飾り、シリーズ発起人が選手権首位に浮上している。

 NASCAR界の“暴れん坊”ことカイル・ブッシュがゲスト参戦し、ラリークロス・デビューを飾って話題を呼んだ11月13~14日のワイルドホースパス戦に続き、2週連続開催となったナイトロRX第4戦は、1周46秒台という短くダスティなトラックでの勝負となった。

 その公式練習から速さを見せたのは、そのブッシュのゲストカーを引き継いだ2021年のユーロRX1王者であるアンドレアス・バッケルド(#13/スバルWRX STIスーパーカー/ジップリクルーター・#GONITROカー)で、開幕2戦に続き第3戦欠場明けで臨んだラウンドで、15台を抑えて幸先良くFP2のトップタイムを叩き出してみせた。

「そう、トラビス(・パストラーナ)の作るコースレイアウトは、失敗が文字どおり“命取り”になるビッグジャンプに、トリッキーな角度のバンクコーナーが組み合わされ、正直言って最初の2戦はコツを掴むのに苦労したよ」と振り返ったバッケルド。

「でも、ダートでのビッグジャンプに慣れた今、このトラックのリズムセクションは大いに気に入った」と、同じスバルをドライブするパストラーナ、スピードのふたりに続く2列目3番手グリッドでファイナルに駒を進めた。

 一方、土曜のクオリファイヒートで最速ドライバーとなりながら、苦労を味わったのはハンセン兄弟の弟ケビン(#9/プジョー208WRXスーパーカー/レッドブル・ハンセンNRXチーム)で、日曜のバトルヒートでは集団のバトルに飲み込まれ「ダストの問題でまったく視界が効かず」に撃沈。セミファイナルではフロントを破損し、敗者復活戦でもライバルの動きに阻害されまさかの敗退となってしまった。

ケビン・エリクソン(#23/ホンダ・シビック・クーペ・タイプR/Olsbergs MSE)はスバルを追い回しファイナル4位
「最終戦では僕らのうちのどちらかが栄光を勝ち獲れたらいいね」とスコット・スピード(#41/スバルWRX STIスーパーカー)

■好調のスバル・モータースポーツUSAが表彰台を独占

 一方、2019年のWorldRX世界ラリークロス選手権チャンピオンである兄のティミー(#21/プジョー208WRXスーパーカー/レッドブル・ハンセンNRXチーム)も「週末を通じて、まるでトラクションが得られなかった」とプジョーのセットアップに苦しみ、からくも4列目7番手でファイナル進出を果たすのがやっとの状態に。

 そんなライバルたちを尻目に、好調さを披露したのがスバル・モータースポーツUSA艦隊で、ファイナルをフロントロウからスタートした2台はそのまま8周のヒートを危なげなく走破し、3位に入ったバッケルドとともにスバルがポディウム独占の快挙を達成した。

「チャンピオンシップ獲得の“ハンティング”に参加することは、僕自身予想もしていなかったことだ。スコット(・スピード)は僕のドライビングを進化させる手助けをしてくれたけど、前戦の勝利で『これはもう何も教えてくれないのでは?』と、正直、貴重なメンターを失ったと思っていたんだ(笑)」と続けたシリーズ発起人のひとりでもあるパストラーナ。

「僕はスコットのようにはドライブできないし、ハンセン兄弟のようなスタイルも真似できない。スバルは彼らのプジョーより大きく、それを機能させるにはもう少し大きくフリックさせる(車体のアングルをつける)必要があるんだ。モトクロス上がりの僕にとって、ここグレンヘレンでの最初の勝利は格別だね!」

 一方のスピードも「ここは僕の自然な感覚とは少し違うタイプのトラックだったけど、トラビスとともに学び助け合い、進歩を続ける環境があるのは素晴らしいこと」だとチーム連携の成果を強調した。

 3台のWRXに続いて4位には「101%のプッシュを続けたけど、あと少しでスバルをパスする機会が得られずイライラした。でもこちらも限界を超えていたから、今日の4位には満足」だと語ったエリクソン兄弟の弟ケビン(#23/ホンダ・シビック・クーペ・タイプR/オルスバーグMSE)が続き、5位にティミーのトップ5となった。

 この週末の結果を受け、スタンディング上では182点としたパストラーナが首位に浮上。175点でスピード、165点でシリーズ序盤を牽引したティミーが追う展開に変わったナイトロRX。これで初年度シーズンも最終戦を残すのみとなり、初代チャンピオンの行方は12月4~5日のノース・フロリダの“The Firm(ザ・ファーム)”で決することになる。

苦戦のケビン・ハンセン(#9/プジョー208WRXスーパーカー/Red Bull Hansen NRX Team)はまさかのセミファイナル敗退に
スタンディング上では182点としたパストラーナが首位に浮上。175点でスピード、165点でシリーズ序盤を牽引したティミーが追う展開に

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