東京五輪中の誹謗中傷を徹底調査 女性狙い撃ちの実態 陸連・コー会長「虐待計り知れない」

コー会長(東スポWeb)

罵詈雑言の矛先は…。世界陸連は東京五輪開幕1週間前から閉幕翌日までの期間(7月15日~8月9日)に陸上選手らがSNSで受けた誹謗中傷の実態調査の行い、その結果を25日に発表した。

この調査は東京五輪に出場した陸上選手や関係者など161人を対象に実施。画像や動画を含む約24万件の投稿を分析したところ、性差別、人種差別をはじめ、根拠のないドーピング非難など、アスリートに対する虐待レベルの実態が明らかになった。

被害の傾向としては、女性アスリートが標的になったケース圧倒的に多い。調査対象の161人中23人が〝標的型〟の罵倒を受け、そのうち16人が女性。また、誹謗中傷を認定された132件の投稿のうち115件が女子選手へ向けられたものだった。女性アスリートへの誹謗中傷は全体の87%を占めていることが分かった。

一方、誹謗中傷の投稿の63%は黒人と女性2人のアスリートが標的。最も多かった2つカテゴリーは、性差別(29%)と人種差別(26%)で全体の55%を占めていた。また、根拠のないドーピング非難が25%、トランスフォビア(トランスジェンダー嫌悪)が9%、ホモフォビア(同性愛嫌悪)が1%と続いた。

今回の調査結果を受け、世界陸連のセバスチャン・コー会長は「今回の調査は憂慮すべきもの。彼らが受けた虐待は計り知れない。このような事態を防ぐために我々はもっと努力する必要がある。この問題に光を当てることは、その第一歩だ」と述べている。

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