連載「成長メシのすすめ」ジュニアからプロ野球選手までサポートする安達瑞保さん
少年野球の頃から食の大切さを知ってほしい。子どもや保護者に送る連載「成長メシのすすめ」と題し、スポーツ栄養士として、ジュニアからプロ野球選手までサポートする安達瑞保さん(日本体育大学教員)に少年野球における食事の大切さを聞いた。保護者が気にかけたい「栄養」について。食が細い子、好き嫌いのある子、どのように食事と向き合っていけばいいかを伺った。
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Q:ご飯はどれくらい食べればいい? 食べる量が少ないことに悩む保護者の方もいます。
「子どもによって体格差がありますし、出された食事の量で満たされないことだってあります。『食べないといけない』というように保護者の方も子どもも悩まないでほしいと思います。ただ、食べられない子に対して、何もしていかないとそのままになってしまいます。食べられるようになるための意識づけは必要です」
Q:食べられるようになるための意識づけとは?
「少しずつでもいいので、量を増やしていく取り組みが必要です。午前中の練習でおにぎりが他の子よりも、食べられないという子の場合。保護者はお腹が減るタイミングを把握することや、簡単に“パクッ”と食べられるような工夫を作る時にしてあげることが挙げられます」
Q:お腹が減っていないという点以外にも「食べられない理由」はあるのですか?
「噛むことが疲れるから食事をやめてしまうという子もいます。食事後に『動けなくなるから』という子もいます。そういう子たちには回数を分けて、増やすという改善策があります。たまに、吐いて、戻してしまうという事例もあります。そうなると栄養が失われ、無駄になってしまうので、量を無理やり増やしたりするのはやめたほうがいいです。また、水分の摂取しすぎでお腹がいっぱいという子もいるので、そのあたりのチェックも必要です。特に炭酸飲料はお腹が膨らみやすいです」
起床から朝食までは15~30分くらい、あけるのが理想的
Q:子どもがなかなか食事に対して意識がいきません。野球を楽しんでいますし、そこまで食事について考えるべきなのでしょうか?
「食育は幼少期から行うことはできますが、『食べなくてはいけないの?』と考えすぎる必要はありません。食事が大事、大事と言われすぎている印象はあります。子どもは素直なので、食への意識、行動はちょっとしたきっかけで変わります。好きな選手が食べているから『僕も食べる』みたいなこともありますよ」
Q:好き、嫌いに変化が出るということですか?
「野菜は疲労回復に効果がある、体を作るのは魚や肉だ! と言っても子どもがピンとこないというのが実情です。大きくなって、自分の体にとってどういう役割があるかがわかってくると食べるようになります。食事からライバルと差がつくことがわかるともっと意識が変わってきます」
Q:大人がしてあげられることはありますか?
「食事は準備が必要です。子どもはお腹が減っていないと全て食べきることができません。『いただきます』と言うときに、お腹がすいている状態が健やかな発育です。朝食であれば、起きてすぐのタイミングだとお腹がすいていません。ある強豪高校の寮での話ですが、寝癖つけて食堂に現れた生徒を指導者が叱っていたことがありました。私はさすがだな、と思ってしまいました。起きてから身支度と整えて、朝食を摂る――。起きてから朝食まで15~30分くらいが理想です。そういう生活サイクルを作ってあげることではないでしょうか」
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