有機溶媒を使わない環境調和型のグリニャール試薬合成法 北海道大学が開発

北海道大学創成研究機構化学反応創成研究拠点(WPI-ICReDD)と同大学院工学研究院のグループは、有機合成において最も頻繁に使われる反応剤の一つである「グリニャール試薬」を簡便に合成する方法を開発した。

グリニャール試薬は、一般に高純度の有機溶媒中で有機ハロゲン化物とマグネシウム片を混合して得られる。この方法は約120年にわたって広く用いられてきた一方で、温度を厳密に制御しながら行う必要があるなど実験操作が煩雑であること、有機溶媒由来の多量の廃棄物が生じること、溶媒のコストや毒性への懸念といった問題点が挙げられている。

有害な有機溶媒をなるべく使用せず、かつ簡便にグリニャール試薬を合成する手法の開発が求められていたことから、本研究では、ボールミルという粉砕機を用いたメカノケミカル合成を利用することを試みた。この手法では、金属製のボールを反応基質とともにジャーに入れ、素早く左右に振動し機械的に強く攪拌することで、溶媒を用いずに高い反応効率を実現できる。

実際に、この手法により、有機ハロゲン化物とマグネシウム片に対しごく少量の有機溶媒の添加でグリニャール試薬を合成することに成功した。容器内の水分や酸素の影響を受けにくい合成法であるため、有機溶媒の使用量をおおよそ通常の10分の1まで低減できる上に、高価な高純度の有機溶媒を用いる必要がないという。ボールミルにより粉砕されるため、ペースト状のグリニャール試薬が調製され、そのまま様々な無溶媒有機反応に使用できる。

本研究が開発した調製法は、実験操作の大幅な簡便化と溶媒使用量の激減に成功したことで、化学製品や医薬品、機能性材料などの環境負荷を抑えた生産プロセスの拡充とコストダウンに貢献すると期待される。

論文情報:

【Nature Communications】Mechanochemical Synthesis of Magnesium-based Carbon Nucleophiles in Air and TheirUse in Organic Synthesis

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