ヤクルト第6戦先発が奥川でも… 崖っぷちの「オリックス有利」と伊勢孝夫氏が見る根拠

ほっともっとフィールド神戸での登板経験も豊富なオリックス・山本(東スポWeb)

日本シリーズは27日に舞台をほっともっとフィールド神戸に移して第6戦が行われ、対戦成績を3勝2敗として日本一まであと1勝のヤクルトとオリックスが対戦する。ヤクルトがこのまま押し切るのか、それともオリックスが〝無双エース〟山本でタイに持ち込むのか。両球団のOBで本紙評論家の伊勢孝夫氏の見立ては――。

【新IDアナライザー】オリックスは星勘定以上に有利な流れに持ち込めたとみている。確かに2勝3敗としたとはいえ、ヤクルトに王手をかけられた状況に変わりはない。それでも第6、7戦は〝準本拠地〟のほっともっと神戸で戦うことができる。今年のレギュラーシーズンは6試合しか行われなかったものの、同球場でのプレーが昨年7月以来となるヤクルトに比べれば、地の利を生かしたアドバンテージとなるのは明らかだ。

しかも、この球場は山間部に位置していることから11月末のナイターとなると吹き下ろしの寒風が強くなり、グラウンドでの体感温度は5度前後にまで下がる。「寒さ」に関しては両軍ともに同じだが、オリックスにとっては勝手知ったるホームだけに、対策面も熟知していることだろう。人工芝での戦いから、内野が土のクレイ舗装および天然芝で形成されているグラウンドに変わることも勝負の分かれ目となりそうだ。

オリックスの中嶋監督は早々と第6戦にエース・山本を先発マウンドへ投入すると宣言している。一方でヤクルトの先発は高橋ではないかと予想しているが、仮に奥川、高梨であったとしても山本に分がある。ほっともっとの〝極寒マウンド〟での投球は風が強いこともあり、乾燥してすぐに指先が乾く。コントロールに苦慮することは間違いないが、そうなるとやはり経験値の高い山本に一日の長があると言わざるを得ない。

オリックスが第7戦に持ち込めば、先発するであろう宮城もほっともっとのマウンドを今季直近(9月7日)で経験済み。もろもろの対応策は十分に体感できている。

対するヤクルトは、あと1勝としている事実をどれだけ冷静に受け止められるかだ。前のめりになり過ぎれば、それこそ相手の思うつぼである。だが、この日本シリーズで2度も救援失敗した守護神・マクガフの起用法は高津監督にとって悩みどころだろう。私なら怖くて9回は使えない。清水を最後に持ってくることも考えられるが、代わって終盤のセットアッパーを誰に託すかが悩みどころだ。高津監督と伊藤投手コーチの起用法に注目したい。(本紙評論家)

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