阪神・佐藤輝にOB柏原純一氏が〝金言〟 初のオフで養うべきは「継続する力」だ

初のオフをどう過ごすか(東スポWeb)

初のオフで養うべきは「継続する力」だ。今季新人ながら24本塁打、64打点と大物の片りんを見せた阪神のドラフト1位ルーキー・佐藤輝明内野手(22)に、通算232本塁打をマークした球団OB・柏原純一氏(69)が〝金言〟を送った。

阪神、日本ハムで打撃コーチを務めた同氏は「ウエートトレーニングなどの体作りや、配球をあらためておさらいする作業は、全体練習がなくなってもやっぱりやらないといけない」とした一方で「ベテラン、若手の区別抜きに、この時期は学生時代の同僚や知人と会ったりできる唯一の時期。そこまで我慢する必要なんてない」とも述べ、自由に羽を伸ばせるオフはむしろ満喫すべきと説いた。

もちろん、オフだからといって1日、24時間のなかで完全に野球から離れてしまうのは「NG」だ。提言として強調したのは「打撃で生きていく選手なんだから。バットだけは毎日、必ず触る」ということ。「1日10分程度だよ。50回、100回でいいから全力で。よくオフだから『1日500とか1000振れ』とか言うけど、そんなのオフに毎日やるわけない。少ない数を集中して毎日続ける。それが後々のプロ人生にも意味を持つ」と力説した。これは言うまでもなく、自らの経験を踏まえてのものだ。

実際に柏原氏も南海時代、当時指揮官だった故野村克也氏の勧めでシーズン中、そしてオフとそれぞれ回数に差をつけながら素振りをルーティンワークとしてこなすようになり「欠かしたことはなかった」と述懐している。その上で「引退後〝やっておいて良かったことは〟と考えたときに(言えるのは)、やっぱりそれはバットスイング」とも補足。最先端のトレーニングや打撃理論の習得と並行し、この〝原始的ルーティン〟を継続すると、ある相乗効果も見込めるという。

「『全力で』が大事になるけど。続けることで、スイングのスタミナがつくだけでなく〝考えて打つ〟脳のスタミナもつく。打ち返すイメージが、インコースかアウトコースか。低めか高めか。球種は何か。要はスイングを一回一回、ピッチャーと対戦しているのと同様にやれば、脳も汗をかくということ」

激動のプロ1年目を終えた虎の大物ルーキー。メリハリをつけて、地味な作業をオフにコツコツと繰り返す――。同じ阪神で4番を打った大先輩も、佐藤輝の「2年目の進化」を楽しみにしている。

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