無意識にあおり運転となり罰則金が発生する可能性も!車間距離はどのくらい空けるのが適切?

路上をルールに基づいた社会として考えた場合、車間というのはとくに大切なものだ。詰め過ぎれば昨今話題のあおり行為になりかねないし、前のクルマが急ブレーキを踏めば止まりきれずにぶつかってしまうこともありうる。かといって開けすぎるのも流れを阻害したり、割り込みを誘発。さらに後ろのクルマに対してせき止めるような形になってしまい、迷惑行為にもなりかねない。基本的には適切な間隔を保ちながら、スムーズに走るのがベストだ。今回は車間距離の適切な保ち方を紹介したい。

高速道路【画像はイメージです】

高速道路では普通車で9000円の罰則金が発生する!

罰則から見てみると、社会問題にもなったあおり運転に対する防止策として2020年6月に強化されていて、罰則と反則金は下記のようになる。

●一般道

違反点数=1点

大型=7000円/普通車=6000円/二輪車=6000円/原付=5000円

●高速道路

違反点数=2点

大型=1万2000円/普通車=9000円/二輪車=7000円

やはり高速道路のほうが厳しく、支払いを拒んだり、悪質な場合は「3カ月以下の懲役もしくは5万円以下の罰金」(一般道では罰金のみ)が課せられることもある。

法律の規定や警察官の判断は曖昧だが「視覚的な状況による」

ただ、そもそもその適切な間隔というのが難しいというか、わからない。法律的には道路交通法で車間距離の保持が定められていて、「第二十六条 車両等は、同一の進路を進行している他の車両等の直後を進行するときは、その直前の車両等が急に停止したときにおいてもこれに追突するのを避けることができるため必要な距離を、これから保たなければならない」としている。意味はわかるが、どれぐらいかは規定していないので、結局のところ、運転する側として正解は不明だ。

距離が近いと思われればあおり運転と判断されてしまうこともある

取り締まりを行う警察官に聞いたところでは、目視で危険だなという距離であれば取り締まるとのことだった。これもまた曖昧だとは思いつつも、実際の現場となると感覚的なものにならざるを得ないだろう。

車間不保持はあおり運転の項目にも含まれる

取り締まりの状況を見てみると、まず警察があおり運転防止のための対象違反としているのは10項目あって、車間不保持もそのうちのひとつ。罰則などが強化された2020年6月から1年間の間でのデータを見ると摘発数は3位に入っている。

あおり運転の罰則が規定されてから車間不保持の取り締まりも増えている

具体的な数字で見ると、2017年までは7000件前後だったのが、あおり運転が問題化したあとの2018年になると1万3025件、2019年が1万5065件と倍増。2020年になると1万3062件に減っているが、これはあおり運転についての意識が高まったのとドライブレコーダーの普及などが影響しているようだ。

ちなみに数字は一般道と高速道路を合わせた総数だが、どの年もその9割ぐらいが高速道路となっている。また、2018年に行われたあおり運転の全国一斉取り締まりでは1週間で、検挙数は1296件にも上り、そのうち1088件が車間不保持だったというから驚きだ。

適切な車間距離は時速60kmなら60m

データ的には油断していると捕まってしまうような感じにも思えるが、では適切な車間距離とはどれくらいなのだろうか? よく言われるのが次の目安だ。

●時速30~60km

走行速度から15をひいた数字(m)

●時速60km

走行速度の数字(m)

わかりやすい目安なのだが、問題は実際の距離をどう測るかだろう。高速道路の場合、一部区間で車間距離の目安用として100m毎に線が引いてあるのを見かけるはず。ここを通過するときに前走車との距離を測って、感覚として覚えておくといいだろう。

高速道路には100m毎に線が引いてある箇所もあるので目安にしたい

「0102運動」は教習所でも教えている車間距離の取り方だ

もうひとつの目安としてこのラインを使った方法(ほかの目安でもかまわない)があって、前走車が通過してから100km/hの場合で2秒後に自車が通過すると、なにかあったときでも停止できるちょうどいい距離になる。これを踏まえた0102運動というのもあって、イチ、ニでは早すぎるため、ゼロイチ、ゼロニと唱えるとだいたい2秒になるから試してみてほしい。

ゼロイチ、ゼロニと唱えるとだいたい2秒ほど車間があけられる

いずれの方法でも中途半端に広いと割り込みがされやすくなるというデータもあるので、適度に空けるというのがポイントだ。

実際の取り締まり方法はパトカー、覆面パトカーだけでなく、ヘリコプターを使用しているところもあるし、後方を写すドライブレコーダーも普及してきていることから、誰も見ていないから大丈夫などと思わず、適切な距離を保ってマナーよく走りたい。

後方を撮影するドライブレコーダーも増えている

【筆者:近藤 暁史】

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