各政党の収入支出状況は?政党運営には、年間いくらかかるのか。(データアナリスト 渡邉秀成)

毎年11月下旬に総務省から政治資金収支報告書(総務省届出分)が公開されます。この政治資金収支報告書には政党、政治家の収入内訳、支出内訳等が具体的に記されています。

政治資金収支報告書を読み込むことで、各政党、各政治家がどのような法人、個人と接点があるのかについておおよそ把握することができます。この収支報告書の収入、支出の数字を見ていくと政党ごとに特徴があることがわかります。(第49回衆議院選挙で投票したかたは投票先政党がどのような収入内訳であるか確認してみてください)

今回は総務省が令和2年12月23日に公表している令和元年政治資金収支報告書の概要(総務大臣届出分+都道府県選管届出分)から、各政党の収入支出の特徴について観察していきたいと思います。

まず、収入部分についてグラフ化したものが下記になります。

図1 政治資金収支推移

平成10年に3626億円を最高にして徐々に下がってきてはいますが、近年は2300億円前後で推移していることがわかります。また、統一地方選挙、参議院選挙が行われた年には収入支出が増えていることも確認できます。

おおまかな全体収支の推移がわかったところで、各政党別の収支を見ていきます。収入額が多い順に政党を並べると下記のとおりです。

図2政党別収入

自由民主党が収入額が最も多く、日本共産党、公明党と続いています。
金額順でグラフを作成すると上記のようになるのですが、収入の内訳グラフを作成すると、政党ごとの特徴が見えてきます。各政党の収入内訳の割合についてグラフを作成すると下記のようになります。

図3政党別収入_内訳

政党交付金が大きく占める政党、政党交付金を全く受け取らない政党、個人からの寄付が大きな割合を占める政党、借入金が大きく占める政党、事業収入が大きく占める政党等、政党ごとに特色があることがわかります。

また、たびたび報道に出てくる政党、政治家に対する寄附や政治資金パーティーの収入額についてもグラフ化しておきます。

政治資金パーティー収入金額の推移については下記グラフのようになります。近年は政治資金パーティー収入金額は200億円前後で推移しています。

図4_政治資金パーティー推移

そして寄附する主体の内訳についてグラフ化したものが次のものになります。

図5_寄附主体推移

法人その他の団体の寄附金額が減少していますが、個人、政治団体からの寄附が増えている傾向にあることがわかります。

毎年、政治資金に関する報道が流れていますが、どのような内訳で各政党等が政治資金を集めているのかについては、意識しないことが多いので、今回は昨年の総務省データを利用して各グラフを作成しました。

これら政治資金収支報告書の提出はExcelフォーマットで提出できるようになっているので、総務省には電子データが保存されていると思うのですが、ウェブ上に公開されているデータはPDF形式で、データ抽出もできない形式です。

総務省が公開する選挙結果調、政党交付金報告書、政治資金収支報告書、都道府県が公開する選挙結果データ、政治資金収支報告書、各選挙収支報告書等は、総務省が中心となり取りまとめ、国勢調査等統計情報を公開する要領で全都道府県、全市区町村のデータの並べ替え、抽出ができるようになると、国民誰もがデータを検証確認することができます。自治体DXも推進されていくのであれば、このようなデータ公開形式部分についても改良してほしいところです。

この2021年11月下旬にも2020年分政治資金収支報告書が総務省から発表されます。
各政党の収入金額、収入内訳、支出内訳を観察して、昨年とどのような変化があるのかをご自身で確認し、どのような企業や個人が献金をしているのか、各政党からどのような企業、個人に業務が発注されているのかを、総務省ホームページで確認してみてはいかがでしょうか。

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