1日も早い帰国を祈り、横田めぐみさんとの再会を誓うチャリティーコンサートが新潟市中央区で開催

横田めぐみさんとの再会を誓うチャリティーコンサート第1部の様子

横田めぐみさんとの再会を誓うチャリティーコンサートが27日、新潟市音楽文化会館(新潟市中央区)で開催された。

コンサートは44年前に新潟市中央区で北朝鮮に拉致された横田めぐみさん(当時13歳)の早期帰国を祈って、「横田めぐみさんの同級生の会」が開催しており、今回で11回目。

コンサートに先立って行われた第1部では、内閣官房 拉致問題対策本部の野村政樹室長、新潟県の佐久間豊副知事、新潟市の中原八一市長、新潟日報社の高橋正秀代表取締役専務、地元選出国会議、新潟市議会の拉致議連のメンバー、石井苗子参院議員、横田めぐみさんの弟である横田哲也さんなどが参加した。

開会の挨拶に立った同級生の池田正樹さん(第1部のパネルディスカッションにもパネラーとして参加)は、「このコンサートを(昨年6月に亡くなった)滋お父様に捧げたいということで、ここ(演台)に飾らせていただきたい」など話し、続けて、「政府の背中を押して、日朝会談を早急にしていただいて、うまく事が運んで、めぐみさんをはじめ拉致された方々全員が帰国してほしいという想いでコンサートを開催している」などと語っていた。

また同級生の吉田直矢さん(第2部でヴァイオリン演奏)は、「コンサートは早紀江さんと滋さんがお元気なうちに、めぐみさんと会ってほしいという想いで始めた。しかし昨年滋さんはお亡くなりになってしまい、僕たちの大きな夢、願いが叶わなくなってしまった。なんとしても早紀江さんにはめぐみさんと再開してほしいという想いでこの会を続けている」など語っていた。

また「このコンサートを行うときに毎回同級生からこのコンサートを最後にしようということを言われながらやってきた。僕も池田くんもそうした想いでやっているが、今回で11回目ということで、毎回期待と失望の連続。いくら何でもこれ以上長引いたら、本当に最悪のことになってしまうという切実な危機感でいっぱい」などと語っていた。

その後、横田早紀江さんのビデオメッセージが流された。その中で早紀江さんは、「これまでと同じ想いで(帰国を)祈っていただきますようお願いいたします」などと語っていた。

横田早紀江さんのビデオメッセージ

続いて来賓挨拶が行われた。

内閣官房 拉致問題対策本部の野村政樹室長は、松野博一拉致問題担当大臣(内閣官房長官)のメッセージを代読した。メッセージでは、拉致問題活動を支援する人々への感謝をあらわすともに、「2002年に5人の拉致被害者が帰国して以来、1人のたり被害者の方の帰国が実現していない。被害者、ご家族、関係者のみなさまに誠に申し訳なく思う」などと語られていた。

また、「拉致問題の解決にはわが国自身が主体的な取り組みを進めていくことが重要。岸田総理はわが国が主体的に動き、(日朝の)トップ同士の関係を構築することは極めて重要であるとの認識のもと、条件をつけずに金委員長と直接向き合うとの決意を表明している。本日のコンサートを通じ、拉致被害者およびご家族の想いを共有されるみなさまの声がより一層大きくなることは、拉致問題の解決に向けた力強い後押しとなる。拉致問題は岸田内閣の最重要課題。一日も早い問題解決に向けて、ご家族に寄り添いながら、あるゆるチャンスを逃すことなく全力で取り組んでいく」などと語られていた。

内閣官房 拉致問題対策本部の野村政樹室長

新潟県の佐久間副知事は「(拉致被害者の親で生きているのは)早紀江さん、有本恵子様のお父さんの明弘さんのお二人となってしまった。もはや一刻の猶予も許されないことを痛感している。政府においては国際社会と連携を図りつつ、日朝首脳会談を見据え、あらゆる可能性を探りながら膠着した事態を打開して、目に見える形で具体的な成果を出すようお願いしたい」などと語っていた。

新潟市の中原八一市長は、「今年は新潟市議会で議員連盟が発足した。また県内30市町村におかれても市町村長の会が設立された。こうしたみなさまと力を合わせながら、政府や国会議員に一日も早く日朝首脳会談の実現など政府に働きかけていかなければならない。また新潟から全国に向けて拉致被害者や特定失笑者の問題を積極的に全国のみなさんに改めて発信し、解決の機運を高めていく努力をみなさんでも続けていってほしい」などと語っていた。

新潟市の中原八一市長

横田哲也さんは講演を行い、「本来であれば姉がこの場にいて、帰ってきたという報告会、コンサートであれば一番よかったが、それが実現できていないことを悲しく思う」と語った。

続けて、「(経済制裁や、台風被害の影響、コロナ禍で)北朝鮮は苦しい状況にあり、日本にとって逃すことができない最大のチャンスであるといえる。このチャンスを最大限に生かして結果を出してほしい。私たち家族会は北朝鮮や国民を追い詰めることを目的にはしていない。私たちは一言、拉致被害者を返してください、としか言っていない。なぜそれができないのかと思う。解決による経済支援などを得ることで、彼らの国は最貧国から脱出できるのではないかと思う。今までのように、拉致は解決したんだ、と言い続けるのであれば、これまでと同様、これまで以上に最貧国の道を歩む。拉致被害者を返せば、経済支援があり、ロイヤルファミリー自身も国民も豊かになれる。そうしたことを私たちも望んでいるし、決して難しい判断を求められているわけではなく、賢い選択をしていただきたいと思う」などと語っていた。

横田哲也さん

第一部では同級生たちによるパネルディスカッションが行われた

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