【ボクシング】全日本Vの入江聖奈 勝っても謙虚「今は金メダリストとしてもてはやされているだけ」

圧勝で全日本制覇を果たした入江(右)。試合後も浮かれず(東スポWeb)

ボクシングの全日本選手権最終日(28日、東京・墨田区総合体育館)、東京五輪女子フェザー級金メダルの入江聖奈(21=日体大)が同級決勝で松持亜実(日体大)を1回1分秒レフェリーストップコンテスト(RSC)で下し、2度目の全日本制覇を果たした。

試合内容は金メダリストらしく完璧だった。課題にしていたボディーが冴え、新たな引出しを確立。それでも「力に頼り過ぎた。切羽詰まった時に今日みたいな動きができるかというと絶対にそうじゃない。まだ強くはなれてないと思います」と反省を忘れない。今後の目標については「(来年)9月のアジア大会でメダルを取れたら日本女子初なので、また初めてを狙いたい」と語った。

現在、大学3年生の入江は大学卒業後に引退を決めている。この日の優勝後も「今は辞める予定です」と話し、その理由については「自分がどこでボクシングをやっているのか想像がつかなくて…。鳥取の地元に帰るのか、自衛隊体育学校に行くのか、日体大に残るのか。どれもイメージがわかなくて」と打ち明ける。

競技引退後の就職を見据えて、すでに複数の企業がオファーをかけている。しかし入江に浮かれる様子はなく、身に着けたいものとして「人間性」を掲げる。

「今は金メダリストとして見ていただき、もてはやされていいますけど、社会人になってその称号がなくなった時に周りが同じ対応をしてくれるかっていうと絶対にそうじゃない。金メダリストがなくなったところでも、みんなから褒めていただけるような人間になりたいと思います」

21歳とは思えぬ受け答え。「すでに人間性が備わっているのでは?」と問われると「いや、全然全然。やっぱ追い込まれた時に真の人間性が出ると思うので。今は余裕があるからイイ感じに見えるだけです」と話した。去り際には「どうもありがとうございました」ときっちりあいさつ。いつものように直角に体を曲げて頭を下げた。

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