55歳からはじめる定年後の準備、一体何をすれば?老後生活の質が変わる3ステップ

55歳というのは、定年をつよく意識する年齢ではないでしょうか。55歳になると役職定年、昇給がストップ、人事部からの「定年前研修」など、周りから「定年」を意識せざるを得ない状況になってきます。

「あと5年で定年、そろそろ準備をしないといけないかなぁ」「定年の準備って何をすれば?」と思っている人は決して少なくは無いはずです。いったい何をすればいいのでしょうか?

「定年をした後は、どうせ再雇用で働くのだから、準備って必要なの?」という疑問を持つ人もいると思います。

ところが、この55歳から定年の準備をしている人と、してない人とでは、天と地ほども老後生活の質を分けてしまう恐れがあります。定年前の準備で何をすればいいのかというのを、3つのステップに分けて解説をしましょう。


定年後の「不安」を解消するには

定年後、もっとも心配なのは老後資金についてです。

いったいどのくらいの老後資金を準備すると、どんな暮らしができるのでしょうか? これは、なかなか想像ができないかも知れません。老後資金に2,000万円は必要と言われていますが、本当のところは、どのくらい準備すればいいのでしょうか?

まずは、定年後の生活とかライフプランをしっかりとイメージをする必要があります。とは言っても、すぐにイメージなんてできないですよね。たとえできたとしても、「絵に描いた餅」では仕方がありません。それを具体的にイメージすることができれば、定年後の生活を考えられますね。

そのためには、まずライフプラン表を作成しましょう。

ステップ1:ライフプラン表を作って老後資金を把握する

ライフプラン表というのは、定年以降の収入・支出、そして資産残高の表を作ることです。ライフプラン表の見本を参考にしてください。これを作ることによって、老後の生活がどうなるのかということがわかります。それがわかれば老後資金をどのくらい用意すればいいのかというのもわかるのです。

例を出しながら説明をします。

もし、夫婦2人の生活で、夫婦の年金合計が月額25万円で、毎月の支出が30万円だった場合は、毎月5万円の赤字になります。95歳まで生きるとしたら、65歳から30年間あります。と言うことは、必要な老後資金というのは、5万円×12ヵ月×30年=1,800万円。つまり1,800万円の老後資金が必要になるのです。

このライフプラン表を作ることによって、老後資金がどこでつきてしまうかという予測もできます。そうすれば、資金がつきないように節約も計画的にすることができるのです。たとえば旅行の回数を減らすなどの予測ができます。

ステップ2:定年後の働き方・生きがいをイメージする

ステップ1のライフプラン表を作成することで、定年後のお金(老後資金)についてイメージができたと思います。ステップ2では、もう少し突っ込んで、定年後の働き方・生きがいについてのイメージを考えて生きましょう。

これは、とても重要な問題です。定年になった時に、再雇用をして働くのか、それともリタイアするのか? 再雇用で働いても、65歳までなのか? それとも70歳までの働くのか? と言うことです。これらの答えは定年前に用意をしておく必要があります。

なぜなら、定年後を具体的にイメージすることで老後のお金が不足する場合、どこまで働く必要があるのかもイメージができるからです。

もし長く働く必要がある場合には、いまの自分のキャリアで大丈夫なのか? 違うキャリアつまりパラレルキャリアの準備をする必要があるのか? など定年後の働き方・生き方についても、この時期に準備を始めておけます。

というのは、55歳の人が65歳になったときには、70歳まで働くのが当たり前の時代になっているかも知れません。そうなったら定年後の10年間働くキャリアを準備しておく必要があるのです。

そこで、このキャリアを磨くために、60歳までの5年間がとても大事な期間になるのです。その準備をしっかりしていないと、定年後会社にぶら下がって、やる気の無い仕事を続けることになります。しかもそれが、70歳までの10年間続くかも知れません。そうなると他の社員から「仕事できない人やる気がない人」などレッテルを貼られてしまうってことも。しっかりとキャリアについての考えをまとめておきましょう。

ステップ3:お金のリテラシーを高める

ステップ3は、お金のリテラシーを身につける期間です。

老後生活を快適に過ごせるかどうかはある意味で「お金」にかかわっています。そして働くのを辞めた後の大きな収入は「公的年金」です。

ということは、老後生活の「カギ」はこの公的年金をかしこく使いこなせるかどうかで決まります。逆に、間違った公的年金の知識だと大損をすることだってあります。

2022年4月に年金の大改定があります。年金の繰下げ受給が75歳まで延長になり、在職老齢年金の基準額が引き上げられ65歳未満で働いても、年金の支給停止がなくなる人が増えます。さらに企業型確定供出年金は拠出が70歳まで延長になり、iDeCoも65歳まで拠出できるようになります。

つまり、今度の年金改正は、知っている人がトクをする、年金を使いこなした人がトクをするような制度改正になっています。

55歳からは、将来、大きな収入の年金について知る時期でもありますし、資産運用についても勉強してもいいと思います。お金のリテラシーを高める期間として考えておきましょう。

ステップ1:ライフプラン表を作って定年後のお金のイメージを作る
ステップ2:定年後の働き方・生きがいのイメージを作る
ステップ3:公的年金などのリテラシーを高める

これらの準備をすることによって、定年後の生活をより豊かにできると思います。ぜひ実行して「ハッピーシニア・ライフ」を実現してください!

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令和4年4月より、年金制度が大きく変わります。本誌は、新旧年金制度はもちろん、定年前から定年時、定年後まで、「やるべきこと」を「やる順」に解説した、手続きガイドの決定版です。年金、雇用保険、健康保険、税金……定年前後はとかく手続きが多いもの。しっかり準備することで、もらえるものはきちんともらい、払わずに済むものは払わず、第二の人生の好スタートを切りましょう!

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