55号車ARTA土屋アドバイザー「絶対にやってはいけないことをやってしまった」1号車との接触についてコメント【第8戦富士決勝】

 まさかの結末で決着がつくことになった2021年スーパーGT、GT500のチャンピオン争い。GT500とGT300とクラスは違えど、双方のタイトル候補が同士討ちでチャンピオンの権利を失うという衝撃の結果に、レース終了後、ホンダ陣営のピットやパドックは、重苦しい雰囲気に包まれていた。

 レース序盤から36号車au TOM’S GR Supraがトップに浮上しレースを進めていたが、ランキングトップの1号車STANLEY NSX-GTも懸命に上位をキープ。後半スティントに入っても山本尚貴が4番手でレースを進め、4位フィニッシュならばタイトルが決まるシチュエーションだった。

 だが、51周目の1コーナーでGT300クラスの55号車ARTA NSX GT3に追突されるかたちで接触を受けて、マシン修復のため緊急ピットイン。右フロントのタイロッドを緊急交換し、コースに復帰したが、結果は14位となり、36号車au TOM’S GR Supraの関口雄飛/坪井翔が逆転チャンピオンを手にした。レース後、55号車にはドライブスルーペナルティの裁定が下されている。

 パルクフェルメから力なく戻ってくる山本に対し、ARTAの鈴木亜久里総監督、土屋圭市エグゼクティブアドバイザーをはじめ55号車のドライバー、エンジニアはすぐに1号車STANLEYのピットに謝罪に行き、今回久しぶりに姿をみせていた1号車の高橋国光総監督と鈴木亜久里総監督が真剣な表情で話し込む姿がみられた。

 その後、レースが終わって2時間近く経った後も、鈴木総監督、土屋エグゼクティブアドバイザー、55号車のステアリングを握っていた佐藤蓮の3人は、ピット裏のチームクニミツのホスピタリティを訪れる姿が目撃された。

「今回は絶対にやってはいけないことをやってしまった。1号車か8号車がチャンピオンを獲るんじゃないかと思って、みんなが見ていたなかで、タイトルがトヨタの手に渡ってしまいました」と、土屋圭市エグゼクティブアドバイザー。

「1号車にはすぐに謝罪にいきました。でも、謝って済む問題ではないです。ただ、もう謝るしかないです」と語った。

 最終戦については、後味の悪い結果になってしまったが、今シーズンを振り返った土屋エグゼクティブアドバイザーは、このように振り返った。

「GT300はノーウエイト勝負になればJAF-GT勢が速いというのは分かっていたので、その中で、僕たちはGT3勢の中でトップを目指そうというレースをしてきました。そういう意味で、今回のレースは別としても、随所でいいレースを見せられたと思います。あとは、蓮が成長してくれれば……ですね」

 一方、佐藤に関しては夜になっても関係者らと話し込んでいる姿がみられた。今回の件に関してショックも相当大きいようで、チームからも取材は差し控えてほしいとのこと。チームリリースでは、このようにコメントを残した。

「接触してしまった1号車の皆さま、チームの皆さまには申し訳無い気持ちでいっぱいです。本当に申し訳ありません。レースに関しては良いペース、流れで気持ちが先走ってしまい、強引な追い抜きをしてしまった為に接触してしまいました。これから同じことを繰り返すようではドライバーとして駄目なので、気を引き締めてオフシーズンにしっかりと勉強して二度と同じことを繰り返さないように努力していきたいと思います」

2021スーパーGT第8戦富士 ARTA NSX GT3(高木真一/佐藤蓮)

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