「感覚が明らかに違う」DeNA森が得た“気付き” 石井琢朗コーチから受けた指導とは

DeNA・森敬斗【写真:荒川祐史】

2年目の今季は44試合出場も打率.194に終わった森敬斗

6年ぶりのセ・リーグ最下位に終わったDeNA。個人としても悔しい1年となったのが2019年ドラフト1位の森敬斗内野手だ。プロ2年目の今季は昨年の8試合を大きく上回る44試合に出場した一方で、打率は.194と苦戦。期待のホープが今年1年を振り返った。

7月10日の中日戦(バンデリンドーム)で1軍昇格すると、翌11日にプロ初のマルチ安打。その後8月後半まで3割近い打率を残していたが、徐々に調子を落とした。「毎日『何でだ、何でだ』って繰り返して、悔しい気持ちでいた」と振り返るように、欲が出ていた。肩が早く開き、外からバットが出て引っ掛けることが多くなっていたという。

「状態がいい時は何を考えてもしっかりバットが出るが、だんだん悪くなってきたら『どうなってんだろう』って悪循環。基本に返ることができたのは、この経験があったからです」。夏の苦しみを無駄にせず、肩の開き、バットの出方の悪癖を修正。10月23日の中日戦、26日のヤクルト戦(ともに横浜スタジアム)では、マルチ安打を記録。結果は打率1割台でも、終盤には自分の打撃ができた実感がある。

新コーチ・石井琢朗氏から指導を受け「感覚が明らかに違う」と手応えも

強力な味方も後押しする。大洋、横浜、広島などで活躍し、通算2432安打を放っている名遊撃手・石井琢朗氏が新コーチに就任。すでに秋季トレーニングでマンツーマン指導を受けた。

「小さい力で(軸が)ブレないように。強い打球を打つことを意識して、打率を残せるようにと言われました。守備に関しては、間をとって右足を捉えるのを教わりました」と早くも石井イズムが浸透。アドバイスを実践し「ボールに合わせるポイントが明確にできた。感覚が明らかに違います」と守備の手応えも感じている。

28日に横浜スタジアムで行われた野球教室「キッズベースボールフェスティバル2021」に参加した森は、指導する難しさに苦戦。その一方で「基本に返るというか。小学校の頃はがむしゃらにやっていたし、ノンプレッシャーだった。そういう気持ちは大事だなと感じました」と少年少女から学ぶことも多かった。

苦しみも成長も経験した2021年。野球少年から得た“基本に返る”と“がむしゃらさ”を忘れず、スター街道を1歩ずつ歩んでいく。(川村虎大 / Kodai Kawamura)

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