3回目ワクチン接種 長崎県内市町 経験生かし改善策探る

発送する接種券の枚数を確認する雲仙市職員=25日、雲仙市千々石総合支所

 新型コロナウイルスワクチンの3回目接種が12月以降、長崎県内でも始まる。各自治体は、接種券の発送や予約方法などについて「2回目までの経験を生かせる」と準備作業を急ぐ。一方、副反応を懸念し接種率が下がらないか。「交差接種」への対応は万全か。会場の寒さ対策は-。新たな課題も浮かぶ。
 長崎新聞社が3回目接種に向けた準備状況などを県内21市町に尋ねた。
 25日午前、長崎県雲仙市千々石総合支所で担当者が黙々と接種券発送の準備を進めた。同市では12月以降、医療従事者331人から3回目を始める予定。
 市健康づくり課の本田理恵課長は「今回(医療従事者向け)は対象者が少なく、封筒詰めは短時間で済んだが、今後は対象者が増え大変になっていく。送付漏れがあってはいけないので気を抜けない」と話す。
 県民の接種歴は、国の「ワクチン接種記録システム(VRS)」で各自治体が参照できるが、2回目まで接種した後、別の自治体に転出入した場合「接種歴なし」の扱いになってしまう。長崎市は、転入の際に接種状況を聞き取っているが、転出入が増える来春に向け「より一層周知を徹底できるよう、関係部署と連携して対策を練りたい」。
 どの自治体でもVRSへの未入力、誤入力はあり得る。同市の担当者は「2回目から8カ月経過しても接種券が送られてこないという問い合わせにもしっかり対応したい」と気を引き締める。
 2回目までの接種予約で「電話がなかなかつながらず困る」との声が寄せられた自治体は少なくない。「電話回線を増やすなどを検討中」(佐世保市)「これまで7千~8千人分の接種券を一気に送っていたが、3回目は200~300人ずつにする」(島原市)「電話回線がパンクしないようにLINE(ライン)での予約を促す」(五島市)「前回同様、対面でも予約を受け付けられる会場設置を検討している」(大村市)-など対策を練る。
 一方、「副反応を敬遠して若い人を中心に『3回目はいいや』という人が一定出ないだろうか」(西海市)と接種率の低下を懸念する声もある。また1、2回目と異なるワクチンを打つ交差接種が3回目から認められ、「オペレーションが複雑になる。(ワクチンの取り違えなど)事故のもとにならないか心配」(大村市)「専門的な知見を提供できるのか、もう少し国の方で説明をしてもらわないと」(東彼川棚町)と戸惑う声も聞かれた。
 春から秋にかけて実施された1、2回目と違って、今回は冬場の接種となる。「腕まくりしやすい服装」を呼び掛けた自治体もあるが、「この時期だと難しい。接種に時間がかかるんじゃないか」(東彼波佐見町)との懸念もあった。

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