正月用のセンリョウ出荷始まる 印南町真妻地域

園地で赤い実をつけているセンリョウ(和歌山県印南町崎ノ原で)

 和歌山県印南町の山間部・真妻地域で、正月用の切り花として用いられるセンリョウ(センリョウ科)が出荷時季を迎えている。園地では収穫作業が始まっており、JA紀州が生産者を対象に品質を確保するための目ぞろえ会を開いた。

 センリョウは上向きに実がなることから縁起が良いとされる。同町では1950年に栽培が始まり、60年代に産地化が進んだ。実の色が濃いと、西日本有数の産地として定着している。

 山あいを流れる切目川流域には黒い寒冷紗(かんれいしゃ)で覆った栽培小屋が点在している。高齢化で栽培農家は減少しているが、JA紀州みなべいなみ花き部会によると、JAを通じて13戸が生産。他に個別に生産している農家もある。

 同町崎ノ原の中畑隆一さん(69)は、父の代から約50年間栽培。現在、園地は約25アールあり、鮮やかな赤い実が実っている。今季の収穫は11月下旬に入って始めた。

 中畑さんは「夏の暑さなどが影響し、実は少なめ。4年前に植えて今季初めて収穫する園地もあるので、どの程度の量が出荷できるか期待している」と話す。

■目ぞろえ会で品質確保

 JA紀州真妻事業所では26日、規格の目安を栽培農家に周知するための目ぞろえ会があり、生産者が参加。切り花の見栄えに関わる最上部にある実の数などをサンプルを示しながら紹介し、品質を統一するよう呼び掛けた。

 各戸で収穫したセンリョウは水槽で保存しておき、12月6日から始まる同事業所での荷受けに合わせて出荷。都市部で12月半ばに開かれるセンリョウ市への出荷でほとんどの生産を終える。この日は大阪南部の市場担当者も訪れ、各生産地の状況などを説明。質の良いセンリョウの出荷を呼び掛けた。

 地元からは、関西を中心に中京や関東地区の市場にも出荷される。

本格的な収穫を控え、目ぞろえ会で規格を確認する生産者(和歌山県印南町松原で)

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