「食」に関する総書記の構想、実践の現場で感じたこと 連続講座「朝鮮の大衆文化をひも解く」第3回

連続講座「朝鮮民主主義人民共和国の大衆文化をひも解く」の第3回が11月20日、朝鮮大学校を本会場にして行われ、オンラインで朝鮮問題に関心を寄せる多くの朝・日の市民が参加した。

テーマは「朝鮮民主主義人民共和国の食についてー90年代から2000年代の政策転換期を中心に」で、講師に朝鮮大学校短期学部副学部長の金貞淑教授(朝鮮民主主義人民共和国生物学碩士)を招いた。金貞淑教授は19年から朝鮮新報に「朝鮮『「食』探訪記」を連載した。

 講座では、1997年から2010年までに発表された、食に関する金正日総書記の著作25本を通じて総書記の構想を説明し、これがどう実践されているのかを朝鮮での実体験をもとに述べた。

朝鮮の食について講演する金貞淑教授(C)朝鮮新報

 講師は、労作を分野別に①家畜の飼育、養殖場の設立、運営(8件)、②穀物や果物の加工と軽工業の発展(8件)、③社会主義文明国を目指した食生活と食文化の発展(3件)、④民族料理をはじめとした料理法(6件)に分け説明し、とくに07年5月の「料理を発展させ人民の食生活様式、食生活文化を時代の要求に合わせて改善することについて」は「料理は科学であり芸術である」という言葉が初めて登場したとても大事な文献であると強調。

 

平壌で行われた料理祭典(C)朝鮮新報

この著作で総書記は、人民の食生活の水準と共に文化水準を高めることに言及し、料理はその国の文明水準の程度まで推し測ることができるので、活動家や料理師たちはさらに人民と料理に対する視点を正すよう具体的な指導をしている。

また、伝統的な民族料理を奨励し発展させることについて強調し、これは主体性、民族性を固守するうえでとても重要な意義を持つとしている。

講師は、短期学部学生がチャンチョルグ平壌商業大学で行っている調理実習や平壌で毎年開かれる「太陽節料理祭典」に参加した経験、また、平壌冷麺だけでなくチョウザメやスッポン料理でも有名な玉流館、ダチョウや参鶏湯の専門店、ジャガイモ産地で有名な両江道のホテル、開城高麗人参で有名な開城市などで食した料理、酒類を写真と共に紹介し、その特徴と魅力について紹介した。

 とくに平壌4大料理と呼ばれる平壌冷麺、温飯、緑豆チヂミ、大同江のボラ汁の共通点として、スープの味が柔らかく色が澄んでおり、食材の本来の味を生かしている点だとしながら、温飯などの由来についても説明した。

 講師は、もともと栄養学の研究から始め、食について研究を深めたという。その経緯について話しながら、「食はアイデンティティを養うとても重要な位置を占めていると思っている。食は日常の自然な行為だが、そこには深い内容と真心が込められ、とても強い力が潜んでいる」と強調した。

 最後に、「朝鮮では、人民により豊かな食と高い食文化を享受することを国の政策として掲げている。その進むべき方向が社会主義文明国だということを今回の発表を準備しながら改めて感じた」と話した。

 この連続講座は、朝鮮大学校朝鮮問題研究センター朝鮮文化研究室と科研費基盤(B)「文化としての社会主義:北東アジアとDPRK」の共催で今年7月に始まり、第1回は朝鮮の音楽、第2回は朝鮮舞踊をテーマに行われた。第4回は朝鮮の喜劇をテーマに来年1月あるいは2月の開催を予定している。

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