イチロー氏の訪問、生徒たちにはサプライズ 国学院久我山・上田主将「ビックリした」

国学院久我山高の選手を指導するイチローさん【写真:代表撮影】

訪問のキッカケとなったのは3年生・田村優樹くんとの出会い

マリナーズのイチロー氏(会長付き特別アドバイザー兼インストラクター)が29日、国学院久我山高(西東京)を訪れ、野球部の生徒82人に指導を行った。昨年12月に今夏の甲子園を制した智弁和歌山高に指導を行って以来、高校での指導はこれが2度目。生徒には事前には知らされていなかったようで、上田太陽主将は「最初見た時はびっくりした」と驚きを隠せなかった。

フード付きの黒のトレーニングウエア、赤のハーフパンツという服装で同校のグラウンドに到着したイチロー氏。同校訪問のキッカケになったのは、3年生の田村優樹くんとイチロー氏が昨年3月に知り合ったこと。今年1月になり、田村くんら現在の3年生全員でイチロー氏に指導を願う手紙を書き、今回の指導に繋がった。

「秋の大会で逆転負けして、その悔しさがあって、そこから全国制覇という目標を掲げたので、そこに少しでもご指導いただいて、プラスになるようにお願いしたいです」と書いた田村くん。夏の大会を終えて野球部を引退したものの、グラウンドでイチロー氏の指導を聞き「後輩も同じ全国制覇という目標に向かって一緒に頑張ってきた仲間でもあるので、プラスになってくれれば」と語っていた。

イチロー氏はまず走り方についてアドバイスを送ると、自らバッティングを披露。「見逃すと思ったらバットが出てくる。それが僕の目指しているところ。手が最後に出てくる。手がキープできている証拠。キャッチャーがそう感じることなら、すごくうれしい」と語り、自身の理想の打撃について教えた。

さらには走塁面についての教えも。27日の日本シリーズ第6戦、3回に二塁走者だったヤクルトのオスナが、宮本のバント空振りで飛び出して刺された場面を例に出し「ストライクだから(走者がアウトになっても)しょうがないと言われがちだけど、僕はそう思わない。空振りでも(帰塁できる)判断が、僕はできた方がいいと思う。空振りしても、戻れる体勢にならないといけない」と指摘した。

日米通算3604試合に出場し、歴代最多4367安打を放ったイチロー氏だが「走塁だけは簡単にならない」とも。「動いていると(判断が)難しい。できるだけ静かにリードをとる。やりたがらない理由が見つからないプレー。(ただ)長い間やってきたことを変えることは難しい。自分で言い聞かせないとできない」と、生徒たちに伝授した。

この日の訪問は生徒たちにはサプライズで、上田主将は「今日来ると知らされてなかったので、最初見た時はびっくりした。やっぱりオーラとか世界で戦ってきた選手。1人だけ輝いて見えました。全然違いました。今までやってきたことがイチローさんがおっしゃったことはかけ離れていた。そういうところもインプットして、自分のものにしていければ」と口にしていた。(Full-Count編集部)

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