社説[オミクロン株]水際対策も格差解消も

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 南アフリカなどで確認された新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン」に世界が身構えている。

 世界保健機関(WHO)は最も警戒レベルが高い「懸念される変異株」に指定し、「危険性は非常に高い」と警戒を呼び掛けた。

 オミクロン株の詳細はまだ分かっていないが、「第5波」で猛威を振るったデルタ株をしのぐ感染力が疑われ、ワクチンの効果を低下させる懸念も指摘されている。

 欧州などでも感染者が確認され、アフリカ南部などからの渡航を制限する動きが広がっている。

 日本も段階的に水際対策を強め、30日からは全世界を対象に外国人の新規入国を禁止した。日本人帰国者への措置も強化した。

 流行の初期には中国からの入国制限が遅れ国内での感染を許したとして批判を招いた。まずは強い予防的措置を取り、様子を見るのは妥当な判断だと言えるだろう。

 ただ、現代のグローバル社会においては水際対策を強化してもウイルスが入るのを完全に防ぐのは困難だ。感染症の専門家も「世界に拡散するのは時間の問題」と見ている。

 それぞれの国で検査体制などの拡充を急ぐ必要がある。同時に国際社会としても協調してこのパンデミック(世界的大流行)に立ち向かうことが求められている。

 だが、これまでのところ協力態勢は十分ではない。切り札であるワクチンが資金力のある先進国に偏在し、公平供給が進んでいないからだ。

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 先進国はワクチン接種をひたすら進め、3回目の追加接種も進みつつある。一方で南アフリカで接種を完了したのは24%。隣のナミビアやモザンビークではわずか11%台にとどまっている。

 ワクチンの普及に向けては「COVAX(コバックス)」という世界的な支援の枠組みがあるものの十分に機能しているとは言い難い。

 ワクチン供給が後回しにされ、オミクロン株が見つかると入国が禁止されたことにアフリカ諸国の首脳らからは「不当な差別」と不満が噴出している。

 南アフリカのラマポーザ大統領は日本などの国名を挙げ厳しく非難した。ワクチン格差を放置することはできない。

 WHO関係者はアフリカで変異株が広がれば「世界全体が振り出しに戻りかねない」とかねて警告していた。オミクロン株の広がりは、その警告が現実味を帯びてきたと見ることもできる。何としても食い止めなければならない。

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 日米欧の先進7カ国(G7)は29日、緊急の保健相会合をオンライン形式で開き対応を協議した。

 先進国には発展途上国との間でワクチン格差を生じさせた責任がある。G7として一致した姿勢を打ち出し、保健医療の脆(ぜい)弱(じゃく)な国へのワクチン提供を加速させてほしい。

 途上国への普及が一定進むまでは追加接種の対象を絞るなどの対応の検討も必要ではないか。開発が進んでいる飲み薬の配分についても議論を求めたい。