【漫画】東日本大震災を巡る青春ストーリー『夢見寮』取り壊される学生寮、交錯する不安

東日本大震災から10年を迎えた今年。震災の記憶を風化せないためにも、さまざまなメディアがあの当時の出来事や現在の状況を伝えた。その中で、甚大な被害を受けなかったものの、震災による心境の変化や漠然とした不安に包まれた人も多いはず。今回は、そんな微妙な気持ちの揺れ動きを繊細な筆致で描いた青春漫画作品「夢見寮」をピックアップ。作者である相澤亮さんのコメントも併せて紹介する。

「夢見寮」1コマ目

◆震災と学生寮での最後の時間。「夢見寮」

美術大学生たちが暮らす学生寮。東日本大震災後に寮の取り壊しが決まり、この寮で暮らす学生たちが不安な気持ちを抱えながら、それぞれの道を模索しようとする何気ないシーンを描いた作品。寮での最後の時間を学生たちは、どのような思いで過ごすのか。

「この作品を描いた時期は東日本大震災から1年ほど経った頃で、社会全体にも漠然とした不安が漂っていました。その当時の世の中の空気に、登場人物たちの不安を重ねています。そしてそこには、当時登場人物たちと同じような状況にあった、私自身の視点も重ねられています。この作品は、恐らくそうした時期にだけ描けた“モラトリアムの終わり”を巡る作品です」(相澤亮)

東日本大震災後に取り壊しが決定した学生寮を舞台にした青春モラトリアム漫画。震災の影響で不安に包まれる社会と、社会に出る不安を抱える学生の思いを重ねながら、見事な筆致で微妙な心の揺れ動きを捉えていく作品。

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(よろず~ニュース特約・橋本未来)

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