ふるさと納税は節税になる? どれくらいお得? 申請方法も解説

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最近、「ふるさと納税をすると節税できるって聞いたけど、どれくらい節税できるのかも仕組みもよく分からない……」というご相談を受けることが増えてきました。

テレビCMなどでも耳にすることが増えてきた今こそ、ふるさと納税の「ハテナ」を解消してみましょう。

■そもそも「ふるさと納税」って何?

よく耳にする「ふるさと納税」ですが、一体どのような仕組みなのでしょうか?

◇ふるさと納税は「応援したい自治体を自分で選んで寄附できる制度」

ふるさと納税制度は、「今は引っ越して地元を離れてしまったけれど、生まれ育ったふるさとに貢献したい」「応援する自治体を自分の意思で選びたい」という目的のために創設された制度です。

そのため、「ふるさと(=自分の生まれ故郷)」だけでなく、どの自治体にもふるさと納税を行うことができます。

各自治体のふるさと納税についての考え方や寄附金の使い道などは、ホームページ等で確認できます。それらを見た上で、応援する自治体を選ぶのも良いでしょう。

◇ふるさと納税は節税にならない?

ふるさと納税について調べたことがある人の中には「ふるさと納税は、『納税じゃなくて寄附だから節税にならない』って聞いたけど、本当はどっちなの?」という疑問を持っている人もいると思います。

その疑問の答えは「両方とも正解」です。

ふるさと納税には「納税」という言葉がついていますが、実際には都道府県や市区町村への寄附です。

そして、その寄附金額の一部が、翌年の所得税及び住民税から控除されます。そのため、結果的に税制メリットを受けられることになるのです。

■ふるさと納税で所得税・住民税の控除や還付を受けられる

ふるさと納税をすると、所得税や住民税の控除を受けられたり、所得税が還付されたりといったうれしい税制メリットがあります。

◇そもそも「控除」や「還付」って何?

よく「所得控除」と聞きますが、ここでいう「控除」とは「支払うべき税金がかかる所得から一定の金額を差し引くこと」です。

年末調整や確定申告をする際に、年間の所得金額から所得控除の金額を差し引くことで、計算上の所得が減ります。

サラリーマンの場合は、毎月の給料から控除前の所得額で計算された所得税が引かれています。

年末調整や確定申告で控除額の申請をすることで、「すでに払っている控除前の所得税」と「控除後の所得税」の差額が返ってきます。これが「還付」です。

◇ふるさと納税で所得税が還付される仕組み

細かなことは省きますが、所得税とは個人の所得に対してかかる税金で、「1年間の全ての所得から所得控除を差し引いた残りの課税所得に、税率を適用して計算した税額」です。

*所得税={(1年間の全ての所得の金額)―(所得控除の対象となる金額)}×所得税率(所得金額によって0~45%)-税額控除額*

所得控除には、基礎控除や医療控除、生命保険料控除や寄附金控除など、全部で15種類あります。

ふるさと納税は、所得控除の中の寄附金控除に該当します。そのため、所得税がかかる計算上の所得が少なくなり、還付が受けられる場合があるのです。

◇所得税の還付金(目安)の計算方法

それでは、ふるさと納税をするとどれくらい所得税が戻ってくるのでしょうか?以下の式にふるさと納税の額と所得税率を当てはめることで、目安の金額を求めることができます。

*還付金額=(ふるさと納税額-2,000円)×所得税率(所得金額によって0~45%)*

例として、以下2パターンの年間課税所得の人が10,000円分のふるさと納税を行った場合の還付金額を計算してみましょう。

*195万円以上~330万円未満の場合→(10,000円-2,000円)×10%=800円

330万円以上~695万円未満の場合→(10,000円-2,000円)×20%=1,600円*

※この計算では、他の所得控除・税額控除は考慮していません。※所得金額ごとの所得税率については、国税庁のHPで詳しく紹介されています。

No.2260 所得税の税率

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2260.htm

◇ふるさと納税で住民税が控除される仕組み

住民税は、所得に応じて納める「所得割」と、所得金額にかかわらず一律で割り当てられる「均等割」の2つで構成されています。

ふるさと納税をすると、「所得割」の部分が控除されます。

住民税は、所得税とは違ってその年の住民税ではなく、翌年に納める予定の住民税の額から控除されます。

◇住民税の控除額(目安)の計算方法

ふるさと納税で控除される住民税には、「基本分」と「特例分」の2つがあります。

「基本分」は、ふるさと納税以外の寄附金にも適用される、基本的な寄付金控除です(例えば自然保護団体や福祉団体への寄附など)。

一方「特例分」はふるさと納税にだけ適用される控除です。

それぞれの控除額の計算方法は以下の通りです。

☆基本分の計算方法

基本分の控除額は以下の通りです。

*住民税の基本分の控除額=(ふるさと納税額-2,000円)×10%*

☆特例分の計算方法

特例分の控除額は以下の通りです。

*住民税の特例分の控除額=(ふるさと納税額-2,000円)×{100%-10%(基本分の税額控除)-所得税率}*

※ただし、特例分の控除額は所得割額の2割が上限となります。

例として、以下2パターンの年間所得の人が10,000円分のふるさと納税を行った場合の控除額を計算してみましょう。

※基本分は所得で変動することはないので、特例分のみ計算例を示します。

*特例分の控除額

年間所得195万円以上~330万未満の場合→(10,000円-2,000円)×(100%-10%-10%)=6,400円

年間所得330万円以上~695万円未満の場合→(10,000円-2,000円)×(100%-10%-20%)=5,600円*

※この計算では、他の所得控除・税額控除は考慮していません。※所得金額ごとの所得税率については、国税庁のHPで詳しく紹介されています。

No.2260 所得税の税率

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2260.htm

■ふるさと納税の還付や控除が受けられるのはいつ?

ふるさと納税による所得税の還付や住民税の控除が受けられる時期についても気になるところだと思いますので、解説します。

◇所得税の還付時期

所得税は、確定申告をした1~2カ月後に還付が行われます。確定申告の受付期間は通常2月16日~3月15日までの間ですが、e-taxを利用する場合はそれより前から申告可能です。

確定申告をせず、ワンストップ特例制度を利用した場合、還付金はありません。その代わり、所得税の控除額の分も翌年の住民税から控除されます。

◇住民税の控除時期

住民税の控除は、給与所得者で給料から引かれる場合、ふるさと納税をした翌年の6月から翌翌年の5月まで毎月控除されます。

自営業など、自分で住民税を収めている場合(普通徴収)は、ふるさと納税の翌年6月から4回支払う住民税の総額から控除を受けられます。

■ふるさと納税の還付や控除を受けるのに必要な手続きは?

ここからは、実際に還付や控除を受けるための手続きについて解説します。

手続きには、「確定申告」と「ワンストップ特例制度」の2パターンがあります。

自営業など自分で確定申告をする必要がある人、またはふるさと納税をした自治体が5団体を超える場合は確定申告をする必要があります。

一方、会社勤めなど自分で確定申告をする必要がない人で、ふるさと納税をした自治体が5団体以内の場合はワンストップ特例制度を利用できます。

◇確定申告をする場合

確定申告をする場合は、以下の流れで手続きをします。

☆STEP1:自治体を選んで寄附する

寄附金の使い道や返礼品などをチェックして、寄附をする自治体を選びましょう。

☆STEP2:寄附金受領証明書を受け取る

選んだ自治体にふるさと納税をすると、寄附金受領証明書が送られてきます。確定申告に必要なので、大切にとっておきましょう。

専用用紙で納税した場合は、その控えが証明書になる場合もあります。

☆STEP3:確定申告をする

ふるさと納税を行った翌年の3月15日までに、住所地の税務署で確定申告を行ってください。

◇ワンストップ特例制度を利用する場合

☆STEP1:自治体を選ぶ

寄附金の使い道や返礼品などをチェックして、寄附をする自治体を選びましょう。

☆STEP2:ふるさと納税時にワンストップ特例の申請書を取り寄せる

ふるさと納税をする際に、ワンストップ特例の申請書を取り寄せます。

ふるさと納税の専門サイトなどから納税した場合、サイトでダウンロードできることが多いようです。

あるいは、寄附金受領証明書と一緒に送られてくるパターンや各自治体に直接請求するパターンもあります。ふるさと納税をする際に、申請書の入手方法も確認しましょう。

☆STEP3:ワンストップ特例の申請書を自治体に提出する

ワンストップ特例制度の申請書を、ふるさと納税を行った各自治体に提出します。提出期限は寄附した翌年の1月10日まで(必着)です。

自治体によって手続きや申請書の様式が違うこともあります。申請前に、ふるさと納税を行ったポータルサイトや、各自治体のHPで確認しましょう。

■ふるさと納税をする時の注意点は?

ふるさと納税について、いくつか注意するべきポイントがあるので紹介します。

◇(1)納税額には上限がある

ふるさと納税で控除が受けられる納税額は上限があります。

上限額は所得や家族構成、住宅ローンの有無などによって変わりますが、独身の場合は以下が目安です。下記金額までなら実質負担2,000円で地域を応援できます。

*年収(額面)ごとの上限額の目安

300万円:約28,000円

400万円:約42,000円

500万円:約61,000円*

◇(2)寄附者の名義でしか控除が受けられない

ふるさと納税のサイトなどを利用すると、クレジットカードを使ってネットショッピング感覚でふるさと納税を行うことができます。

しかし、控除を受けられるのは寄附者の名義でふるさと納税をした場合だけです。そのため、自分以外の家族名義のクレジットカードを使ってしまうと控除が受けられません。

クレジットカードを使う時は、自身名義のものを利用しましょう。

◇(3)確定申告が必要になることもある

確定申告が必要ないサラリーマンなどは、控除を受けるための確定申告が不要なワンストップ特例制度を利用できます。

しかし、ふるさと納税をした自治体が6つ以上ある場合や、元々確定申告が必要な場合(副収入が年間20万を超えるなど)は、ワンストップ特例制度を使えません。

自分がワンストップ特例制度を利用できるかどうか、事前に確認しておきましょう。

◇(4)納税方法によってポイントなどのお得度が異なる

ふるさと納税ができるサイトによっては、納税額に応じてマイルやギフト券に変換できるサイトもあります。

ふるさと納税のついでにマイルやポイントを効率良く貯めたい場合は、サイト選びも重要です。

■結局ふるさと納税はした方が良いの?

ふるさと納税は、所得やその他の控除によっては上限額が低かったり、思ったよりも控除額が少なかったりする場合もあります。

そのため、ここまで記事を読んで「結局、ふるさと納税はした方が良いの?」と疑問に感じた人もいるかもしれません。

しかし「上限額の範囲内なら実質的な自己負担額は2,000円」というのは事実なので、「2,000円以上の価値がありそうな返礼品を選べばふるさと納税で得ができる」と考えられます。

各ふるさと納税サイトが紹介している人気ランキング上位のものは、還元率が高いものが多いです。それらを参考に、お得な返礼品を選ぶのも良いでしょう。

また、前段でも言及しましたが、ふるさと納税のサイトによってはマイルやポイントが貯まります。普段の生活で利用しやすいポイントが貯まるサイトを選べば、さらにお得感があるでしょう。

□ふるさと納税の仕組みを理解してうまく利用しよう

ふるさと納税を利用して、実際に控除が行われたのは、2020年には552万人ほどでした。

これは利用率に置き換えると、まだ10%ほどでしかありません。

ここまで記事を読んでふるさと納税の疑問を解消してきた聡明な皆さんであれば、「すぐにでもふるさと納税サイトを検索して、さっそく今年から利用してみよう!」という気になっているかもしれませんね。

仕組みを再度理解して、ふるさと納税をうまく利用しましょう!

(FP Office景山一輝)

※画像はイメージです