M―1決勝進出もあるぞ!? 快進撃続ける「ヨネダ2000」の魅力を〝プロ〟が徹底解説

ヨネダ2000(左から清水亜真音、愛)

〝女芸人マニア〟として知られているお笑いコンビ「馬鹿よ貴方は」の新道竜巳が、これから〝馬鹿売れ〟しそうな女芸人を紹介。今回は、今年の女芸人No.1決定戦「THE W 2021」で決勝進出、「M―1グランプリ2021」でも準決勝に進んだ、女性コンビの登場です。

年末の賞レースにおいて、女性コンビの新星が現れました!

【プロフィル】
コンビ名:ヨネダ2000
結成:2020年4月1日
所属:吉本興業
養成所:東京NSC23期生
立ち位置右:愛
生年月日:1996年9月19日
立ち位置左:清水亜真音
生年月日:1999年3月25日

今年の後半くらいから、急にライブシーンで話題になったコンビです。芸歴は2人とも4年近くありますが、結成してからたった1年間で仕上がったという印象があります。この世界では「おもしろいコンビは、組んだ瞬間からおもしろい」とよく言われるんですが、それがまさにヨネダ2000です。

今年の「THE W」では2回戦から稲妻のような笑いを取り、驚異の存在感を見せつけました(1回戦は動画審査)。賞レースでウケるコンビはたくさんいます。しかしこのコンビは、ウケに加えてたくさんの魅力が乗っかってくる。いままで見たことがない形式の漫才を分かりやすく表現しています。今後は女性漫才師の異端児として、ヨネダ2000にあこがれてお笑いを始める女性コンビが出てくることが容易に想像できてしまうような存在です。

愛さんも存在感がありますが、それを上回る存在感を持っているのが小さい方の清水さんです。いままでの女芸人では見たことがない、少し不自然な立ち振る舞いで進めていく話術は、一見するとお遊戯会のよう。一生懸命にはっきりしゃべっているように見えるんですが、それはこのコンビの魅力である破壊力のある笑いを生み出す演出なんです。

ヨネダ2000の漫才を私はまだ2本しか見ていませんが、ネタの構成、ボケの言葉選びがすごく秀逸で、同業者も笑わせてしまうほどの破壊力があります。「THE W」の準決勝でも、期待を全く外しませんでした。過去のファイナリストとも堂々と渡り合い、むしろ真正面から競り合って勝っていたようにも見えました。

「THE W」の準決勝は、2日間で2本のネタをやる必要があるので、勝ち上がるためには2本とも強いネタを揃えなくてはなりません。準決勝の1日目は、2回戦で披露したネタをやっていました。2日目はどうなるか、不安とワクワクした気持ちで会場に行くと、同じぐらいおもしろいネタをもう1本持ってました。2日間ともおもしろくて魅力あふれるネタを披露していたので、見た瞬間に「おそらく決勝に行っただろう」と思いました。自分が審査員だったら絶対に通していると思わせるぐらい、2本ともすばらしい漫才でした。

さらにすごいのは、M―1でも準決勝に勝ち進んでいること。M―1は、3回戦の動画が公式ユーチューブで見られるのですが、この評判が非常にいい。この動画を見た人は、私が何も言ってなくても「ヨネダ2000、おもしろかったよね」と自然と出てくるほどです。

一時期中断したことがあるM―1が2015年に復活して以降、男女コンビが決勝進出したことはありますが、女性同士のコンビは決勝に行ってません。過去の大会でも、決勝に行ったのは05年のアジアン、06年の変ホ長調、07、09年のハリセンボンの3組のみ。しかし今年は、ヨネダ2000が久々に女性コンビとして決勝進出しても全くおかしくありません。

M―1という大会は、爆笑を取るだけでは勝ち上がっていけません。でもヨネダ2000にはおもしろさに加え、別の大きな魅力がある。それがこのコンビを栄光に誘う気がしてなりません。準決勝は12月2日に行われますが、「THE W」だけでなくM―1でもファイナリストに名を連ねることを期待しています。

☆しんどう・たつみ 1977年4月15日生まれ、千葉県出身、本名・濵島英治郎。平井〝ファラオ〟光と組む「馬鹿よ貴方は」として「THE MANZAI」、「M―1グランプリ」で決勝進出を果たした実力派。緻密なネタ作りに定評がある一方、女芸人No.1決定戦「THE W」では、予選会場に足しげく通い、ほとんどの出場者のネタを見るほどの〝女芸人マニア〟。

© 株式会社東京スポーツ新聞社