進化する「焼き芋」 “第4次ブーム”続く スイーツ感覚も 時代とともに「新旧融合」

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特集は、この季節になると食べたくなる「焼き芋」です。時代の移り変わりとともに昔ながらのスタイルと、新しいものが融合し「進化」し続けています。ねっとり系に、しっとり系…。皆さんの好みはどんな焼き芋でしょうか?

25日午後4時ごろ―

「石焼~きいも~、おいも」

佐久市のJR岩村田駅前。最近では聞くことが少なくなった懐かしいメロディーが鳴り響きます。

釜の中で、じっくり焼き上げ…蜜がたっぷりホクホクの焼き芋です。この季節、これを目当てに多くの人がやってきます。

うごく石焼き芋屋さん・安喜正紀さん:

「『紅はるか』と『シルクスイート』あるけど、どちらがいいですか」

高校生:

「紅はるかで」

学校帰りで、おなかもぺこぺこ。ついつい、店先で…

高校生:

「甘くておいしい、やわらかくて最高です。もともと焼き芋が好きで、お腹すいていたので、ちょうどあったのでいいなと思って匂いにつられて買っちゃいました」

店主は、安喜正紀さん33歳。昔ながらのスタイルで3年前から東信地方を中心に移動販売をしています。はじめた理由は、幼い頃の思い出です。

うごく石焼き芋屋さん・安喜正紀さん:

「寒いときにあったかい焼き芋屋さんが通ると、焼き芋の季節が来たなと。あたたかさでホッとする、おいしいと味わえるのが魅力的」

観光シーズンは、人力車で客を案内する仕事をしている傍ら、冬場は「焼き芋店」を営んでいます。

(軽井沢町・25日午前11時過ぎ)

焼き方も、昔ながらのスタイルにこだわっています。

うごく石焼き芋屋さん・安喜正紀さん:

「薪を燃やし、そこで焼き芋を焼くのは昔ながらの一つの文化。なるべくそのままその温かみを残しながらやりたいな」

釜の温度がおよそ180度になったら、茨城産の「紅はるか」と「シルクスイート」を入れます。

うごく石焼き芋屋さん・安喜正紀さん:

「どちらもねっとりした感じ。洋菓子みたいに甘いのでおいしい」

釜の温度を調節し、100度ほどまで下げたら…この日の販売場所に移動…。

御代田町へ―。

じっくり焼き上げることおよそ1時間半…。香ばしい香りがただよってきます。

すると…

うごく石焼き芋屋さん・安喜正紀さん:

「今、焼きたてなのでけっこう熱いと思う、気を付けてください」

「紅はるか」を購入。(100g200円)

客:

「うまい、やわらかくてうまい。寒いときにはいいわ」

「焼~きいも~、焼~きたて」

安喜さんは、古き良き文化を大切にし、身も心も温まる焼き芋をこれからも届けたいと話します。

うごく石焼き芋屋さん・安喜正紀さん:

「いろんな新しいものが出てきてる中で、ちょっとずつ古いものの文化が若い人たちも興味を持つようになってきたり、魅力を感じる方も増えてきたんじゃないかな。今のスタイルを維持しつついろんな方に知ってもらえるように、おいしく焼き芋を焼いていけたらな」

(今月19日)

一方、こちらは長野市権堂。かわいらしい車がトレードマークの移動販売です。

こちらの焼き芋には、ある特徴が…

(リポート)

「すごい!つぼの中で、サツマイモが輪になっていますね」

つぼの中で焼く「つぼやきいも」。(S 400円/M 500円/L 600円))

炭で熱したつぼの中で、針金でイモを宙に浮かせます。

ルビーの靴・後藤梨菜さん:

「石焼き芋よりも、おイモの水分が逃げにくいので、ねっとりしっとり甘く焼きあがる製法。石焼き芋より昔からの製法みたい」

実は、「つぼ焼き」は「古くから伝わる製法」です。いも類振興会によりますと、歴史は戦後に広まった「石焼き」より古く、「つぼ焼き」は、1929年ごろ、中国から日本に伝わったとされています。

イモと熱源を離して蒸し焼きにすることで、水分や甘みを維持でき、最近、人気の「ねっとり系」に仕上がるということです。

1時間ほど蒸し焼きにすると…

(リポート)

「おお~、おいしそうです!とっても甘いです!舌触りなめらか、そしてねっとりとした食感がくせになりますね」

リピーターも増えているそうです。

客:

「すごく甘くておいしくて、また来ようって思って、また来ちゃいました。おいしいです。他とは違う感じがやっぱり、わざわざ買いに来てよかった」

夏はかき氷を販売する後藤さん。冬に販売できるもので思い付いたのが「つぼやきいも」でした。イベントでも出張販売をしていて、1日に100個ほど売れる日もあるそうです。

ルビーの靴・後藤梨菜さん:

「最近、“ねっとり系”と呼ばれる、やわらかい焼き芋が主流になってきて、それがスイーツみたいな感じで人気が出てきたのかな。ゆくゆくは店舗とか持って、移動販売と並行して営業できたら」

(岡谷市、24日)

焼き芋は、こんなところにも。

岡谷市民総合体育館では、今月16日から市が特産化を目指す「シルクスイート」の焼き芋の販売を始めました。多い日では、1日40本以上売れるといいます。

特徴は“しっとり系”の食感です。

シンコースポーツ・金本友里さん:

「売れるスピードもかなり早いので、仕入れの方も追いつかないといいますか…」

スポーツで汗を流し、そのあとに…

職員:

「はい、300円ね」

子ども:

「おいしい、甘い」

「(Q.なんで焼き芋を)腹減ってたから(笑)」

保護者:

「いつも気にはなっていたけど、この前(売り切れで)買えなくて、やっと買えました」

シンコースポーツ・金本友里さん:

「焼き芋だけを買いに来られる方もたくさんいたので、焼き芋を通して(地域の)活性化につながるかな」

いも類振興会によりますと、「焼き芋」の歴史は江戸時代までさかのぼり、今は平成から続く長い「第4次ブーム」とされています。

今後も、昔ながらのスタイルと新しいものが融合して、進化していきそうです。