EU、数十億ユーロ規模の世界投資構想を発表へ 中国の「一帯一路」に対抗か

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ジェシカ・パーカー、BBCブリュッセル特派員

欧州連合(EU)は1日にも、世界的な投資計画を発表する。中国の広域経済圏構想「一帯一路」に対抗する狙いがあるとみられている。

欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長が「グローバル・ゲートウェイ」構想を発表する予定。関係者によると、デジタルや運輸、気候・エネルギー対策などについて「具体的な」構想となっている。

中国はアフリカなどに投資を通じて影響力を伸ばしており、これに対する西側の対策の一環だという。

EUは現在、この計画に向け、加盟国や金融機関、民間セクターから引き出した数十億ユーロをどのように投資できるかを模索している。

フォン・デア・ライエン委員長は9月の演説で、「世界中の質の高いインフラや人々をつなぐモノ、人材、そしてサービスに投資したい」と語っていた。

1日にも発表される14ページの文書では、この計画を直接的に、中国の投資イニシアチブのライバルとは位置付けていないもよう。欧州委員会は11月30日の会見でも、慎重に中国への言及を避けていた。

しかしジャーマン・マーシャル財団のアンドリュー・スモール上級フェローは、「一帯一路がなければグローバル・ゲートウェイは存在しなかっただろう」と指摘。グローバル・ゲートウェイでは「欧州側が初めて計画を取りまとめ、融資メカニズムを形作った。中国から融資を受けようと考えていた国々に選択肢ができた格好だ」と述べた。

一帯一路構想は、中国の外交政策の中心だ。道路や港湾、鉄道、橋などに投資することで、貿易網を開発している。

その範囲はアジア地域からインド・太平洋地域、アフリカ、そしてEUにほど近いバルカン半島西側まで及んでいる。

同構想は「略奪的な融資」を提供している「借金漬け外交」と呼ばれ、批判を受けている。

さらに、その全体像はもっと複雑で、リスクを伴わずに大金を借りることは難しいと指摘する声もある。中国は他国が満たさなかった需要に応えたとみる人もいる。

どちらにせよ、西側との緊張感は高まる中で、中国は経済的・地政学的な足跡をあちこちに残している。


こうした中でEUは、その影響力と資源を結集しようとしている。スモール氏は、これが「大きな試練」になるだろうと説明している。

問題は、EUが実際にこの地政学的な領域で活動できるのかということだ。

「それともEUはあまりにも頭がかたく、内部の官僚主義的な摩擦で身動きが取れなくなるのか? もしこの計画で失敗すれば、それは大きな失敗になる」

ある外交官は私に、「欧州がこの領域での影響力を行使し始めたのは良い兆候だ」と語った。

「アメリカやイギリスなど、大西洋を挟んだ友好国との共通の利益だからだ」

しかし共通の利益はさらなる競争を生む可能性もあると、世界開発センターの上級フェロー、スコット・モリス氏は指摘する。

何より、アメリカは昨年6月の主要7カ国(G7)首脳会議で、独自の「より良い世界再建」(B3W、Build Back Better World)構想を立ち上げている。「多くのブランドがぶつかり合う、うるさい領域だ」とモリス氏は語った。

その上でモリス氏は、グローバル・ゲートウェイ構想の成功を「期待している」と言う。中国への対抗「以上に重要」なのは、欧州が「資金が必要な途上国に有用となる規模の融資を実現できる」機会になるからだ。

この計画は、欧州委員協議会で承認された後、フォン・デア・ライエン委員長から正式に発表される。

EUは、この構想では「価値を基準」にした「透明性の高い」アプローチを行うと強調し、EUへの依存ではなくつながりを作りたいとしている。

しかし、この計画は影響力の問題でもある。欧州委員会はさまざまな方法で地政学領域での活動準備を続け、その強度を確かめている。

(英語記事 Multi-billion EU bid to challenge China