借金400万、毎月の返済は12万円の40代夫婦「債務整理せずに家計を立て直したい」

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。
今回の相談者は、40歳、夫の扶養内で働く女性。400万円まで膨らんでしまった借金を返して家計を立て直したいという相談者。複数の金融機関から借り入れがあり、毎月の返済額は12万円ほどで、家計は常に赤字状態。返済に追われる状況から抜け出すためにはどこから改善していけばよいでしょうか。FPの横山光昭氏がお答えします。


借金が膨らんだ家計を、立て直したいと思っています。

結婚前から夫に100万円ほどの借金があったのですが、5年前の結婚式費用を借入してからさらに借金が膨らみ、返済が大変になってきました。婚前はクレジットカードのキャッシングで済んでいたようですが、今では銀行のカードローンも増えています。また、結婚後、すぐに住宅を購入し住宅ローンを組みました。資金不足で、転居や家具をそろえるお金も借りてしまいました。今の借入総額は400万円ほどに。毎月の返済額は12万円ほどで、毎月赤字の状態です。

子どもを生むことは考えていないのですが、介護のために夫の母親と同居をしなくてはならない可能性も出てきています。そうなると、夫婦どちらかの仕事を減らすことになり収入が減るかもしれませんし、支出は義母の生活費や介護費分、増えることになると思っています。

このままでは、やがてお金で首が回らなくなり、老後資金のことを考えると不安でたまりません。ですが、住宅を手放したくないので、債務整理は考えていません。この状況で家計を改善し、何とか貯められるようになることは可能なのでしょうか。

【相談者プロフィール】

・相談者:女性、40歳、パート

・夫、45歳、会社員

・手取り収入:

相談者/月収8万2,000円(扶養内)、ボーナスなし

夫/月収49万8,000円、年間ボーナス約210万円

・貯金額:かき集めて20万円あるかどうか

・負債総額:400万円ほど

・毎月の支出の目安:71万1,000円

【毎月の支出の内訳】

・住居費(住宅ローン):12万8,000円

・食費(外食含む):6万2,000円

・水道光熱費:1万9,000円

・通信費(スマホ2台・ネット回線):1万6,000円

・生命保険料:2万3,000円

・日用品代:1万5,000円

・医療費(整体、マッサージ、サプリ含):2万8,000円

・教育費(習いごと、オンラインサロン):2万3,000円

・自動車関連費(カーシェア):1万2,000円

・交通費:8,000円

・被服費:1万円

・交際費:3万5,000円

・娯楽費:8,000円

・こづかい:7万円

・その他:4万4,000円

・ペット飼育費用:4万2,000円

・夫の母へ仕送り:5万円

・カードローンの支払い(5社):11万8,000円

横山:借金家計から、貯金できる家計に改善したいということですね。家計表を見ると、借入返済の負担も大きいですが、そもそものお金の使い方を改めないといけません。貯まる家計にしたいという割には、お金の使い方等についての考え方が甘いように感じます。今のままでは、いつまでたっても借金家計から抜け出せませんから、変わるために行動する覚悟を持ちましょう。

借金を返す覚悟ができていない家計!?

収支を見ると、借入の返済額を除いた生活費は収入とトントンの状態。それに返済額が乗っているため、毎月返済額分が赤字という状況です。返済がなくなれば、何とかやりくりできる家計になると考えられるのですが、今すぐには無理です。

借金については次で考えますが、まず家計を見ると、2人暮らしとしてはかなり大きな支出です。借金の返済をしなくては、という思いがある一方で、気の赴くままというか、あまりやりくりを考えず、欲しいもの、やりたいことにそのままお金をかけている印象を受けます。この支出を改めなくては、改善はあり得ません。

まずは支出の記録をして全体像を把握しましょう。その上で、必要なものにしっかりお金を出しながら、あまり必要ではないものへの支出を控えるようにし、毎月の収支から残るお金を増やすようにしましょう。

例えば、もし、飲み残しているサプリがあるとしたら、それをやめるとか、習い事やオンラインサロンで、参加頻度が少なくなっているものは思い切ってやめる、お付き合いは厳選する、こづかいはその使い道によっては減額するなど、できることは沢山あります。思うままに支出をして「返済できない」というのは、少し違いますよね。

今すぐできることは、支出の削減です。ご主人とよく話し合ってみましょう。

借金の負担を減らすには債務整理も有効な選択肢

今、5社で月に12万円近く返済しているといということは、金利が高い、もしくは返済期間が短い、もしくは「返しては借りて」を繰り返しているということが考えられます。借り入れた総額は400万円ほどですから、返済も大変です。

住宅を手放したくないので、債務整理は視野に入れたくないとのことですが、先入観やデマ情報により過剰に恐れている人も多いものです。利用するかどうかは別として、まずはどのようなものがあるのか、メリット・デメリットを知ってみてはいかがでしょう。やはり、現状から早く立て直すには、債務整理は有効な選択肢となり得ますので。弁護士や司法書士に相談してみるといいように思います。

「おまとめローン」の利用も

その上でどうしてもイヤだという場合は、金融機関で取り扱う「おまとめローン」という、複数の借入先を1つにまとめる返済専用のローンを検討してもよいかもしれません。今は、おまとめローンでも、カードローンなどでもそれほど金利は変わらないのですが、少しでも金利を今より低く借りることができれば、返済の負担を減らせる可能性もあります。

また、今までバラバラだった借金の返済日や残高が一本化されるので、返済状況が分かりやすくなるメリットもあります。ただ、今まで「借りては返す」を繰り返していたようですから、借金を一本化した後にもそれをしてしまっては意味がなくなってしまいます。借金を一本化するだけでなく、支出の見直しをして、毎月の余剰金を安定して出せるやりくりができるようになっていることが必要です。

ボーナスの使い方も意識しましょう

今後、義母が同居するようになると、減収と支出増が見込まれるということですが、これはやむを得ないことです。これに備えるために、借入の返済をしつつ、貯金を増やしていくことを考えていきましょう。

ところで、ボーナスはいつもどのように使っているでしょうか。ボーナスの使い方も、家計と同様に見直し、毎月のやりくりで十分な蓄えができなければ、ボーナスを利用して貯めていくようにしていきましょう。幸いにして、ご主人のボーナス額は多いほうだといえますから、無駄に使ってしまってはもったいないです。できれば半分以上は貯金に回したいものです。

妻が扶養から外れて働き、iDeCoを活用して節税する手も

老後資金を心配されていましたが、家計が改善し、貯金ができて状況が整ってきたら、老後資金作りとしてiDeCoの開始を検討してもよいと思います。毎月の支出は増やしたくありませんから、年払いを利用して、ボーナスの時に半年分、まとめてかけていくと、無理なく積み立てていけるでしょう。iDeCoのメリットは運用中の利益が非課税であることに加え、掛け金が全額所得控除となる点です。

また、ご相談者は今、扶養の範囲で働かれているそうですが、義母と同居するまでは思い切って扶養を抜けるほど働き、税金を払いながらiDeCoの所得控除を受けるのもよいと思いますよ。会社の社会保障制度に加入でき、厚生年金を自分で掛けられると、将来受けとる年金額も増やすことができます。

まだ、同居時期などが見えていないようですから、働けるうちにしっかり働いて備えることが、今できることではないかと思います。支出の削減ができれば、同居による支出増にも対応できるでしょう。

ご相談者が今すべきことは、支出の削減、借金返済方法の検討、収入アップと貯蓄増に取り組むことです。検討のうえ、ぜひ、頑張っていただきたいと思っています。

© 株式会社マネーフォワード