異色のアスリート ボブスレーで北京五輪へ 広島

東京オリンピックが終わって3カ月あまり。今度は北京で冬季オリンピックが開催されます。

さまざまな苦労を経て、広島から出場を目指す異色のアスリートがいます。

鋼鉄製のソリに乗りゴールタイムを競うボブスレー。最高時速140キロを超えるそのスピードから「氷上のF1」とも呼ばれます。

そんな冬の競技で、広島を拠点に来年のオリンピックを目指すのが浜野達也選手です。

浜野選手はスタートでソリを押して加速させる「ブレーカー」というポジションを務めます。

ボブスレーではスタートの加速力がレース結果を大きく左右するといっても過言ではありません。

浜野選手「絶対ありえないですけど、できるだけ毎回ベストを出そうという思いで常に一番重たい重量でできるように」

押し出すソリの重量は、およそ200キロ。ソリを勢いよく加速させるためには並大抵ではないスピードとパワーが求められます。

トレーニングを終え、ぐったりと疲れ切った浜野選手。このまま帰宅かと思いきやすぐに経営するジムへ移動します。

オリンピックを目指し日々トレーニングに励みながら自身で会社を経営する。二足のわらじを履くアスリートなんです。

経営するジムではインストラクターとして自ら指導することもあります。

指導を受けた人「細かく教えてくれるんでわかりやすかったです。ちょっとワクワクしてます。オリンピックに出られるように願っています」

広島出身の浜野選手がボブスレーをはじめたのは7年前。

沼田高校卒業後、消防士として働いていましたが2014年に発生した土砂災害の現場などを経験するうちに気持ちに変化が生まれ始めたといいます。

浜野選手「消防士をやっていると一日何件も人が亡くなるような現場になることもあるし、そういうことを経験して、人生悔いを残さないということの重要性を感じて踏み切った、大きな決断だった」

浜野選手は高校時代、陸上8種競技で県高校記録を樹立するほどの実力者でした。

体力を生かすため消防士という職業を選びましたがスポーツで勝負するという夢をあきらめきれず、陸上経験者が多いボブスレーへの挑戦を決めました。

浜野選手「普通のスポーツ選手って子どもの時からずっとやってレールが敷かれて、レールの上を走っているパターンですが、僕は一度完全にレールから出て違うレールに乗ったんですけど、そこからでもまた夢を追いかけられるということを証明したい」

10月から広島を離れ海外遠征に出発。その結果次第で北京オリンピックへの出場が正式に決まります。

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