「液状化」に備えていますか? 香川県でのリスクを専門家に聞く【こつこつ防災】

防災の話題をお伝えする「こつこつ防災」、今回は「液状化」についてです。

皆さんは住んでいる地域の液状化のリスクやどのような影響があるのかを知っていますか?

液状化によって沿岸部の橋が通れなくなり、避難ができなくなるかもしれません。

そもそも液状化とは……

(香川大学 危機管理先端教育研究センター/長谷川修一 センター長)
「地盤の弱いところから泥水と一緒に砂が噴き出てくる。そして、噴き出た分だけ地盤が沈下する。まず強い地震、それから長い地震というのが液状化を発生させる要因です」

地盤の中では砂と砂の粒同士がかみ合って安定しています。その隙間には水が存在します。一方、地震で振動が加わると、この砂の粒同士のかみ合いが外れます。そして砂の粒が沈んでドロドロに……。地盤が下がり、泥水などが地表に出てきます。

高松市で液状化しやすい場所は?

液状化しやすい場所は「沿岸部」や「川沿い」など、砂地で水を多くの含む地盤です。

高松市の春日町周辺は液状化のリスクが高いエリアの1つです。地震が起きてから30センチの浸水が起こるまでの時間の予測を見てみると……2つの川の周辺は30分未満を示す「赤」や10分未満を示す「紫」のエリアが広がります。

浸水深30cm 到達時間予測(最大クラスの南海トラフ地震の場合)

(香川大学 危機管理先端教育研究センター/長谷川修一 センター長)
「護岸や堤防が液状化で壊れてもし満潮位だったら、海水が入ってきて浸水が始まると、一瞬で高潮状態になるということになると思います。津波が来る前に液状化で避難困難になるということも考えられます」

さらに、液状化によって避難ルートも制限されるかもしれません。特に気をつけなくてはいけないのが「橋」だと言います。橋の橋脚部分は液状化対策がされていますが、橋につながる道路は沈下する恐れがあります。

(香川大学 危機管理先端教育研究センター/長谷川修一 センター長)
「香川県の沿岸部の橋では、橋のところで段差ができて通行できなくなると思われます」

この他にも、液状化によるさまざまな被害が想定されます。

(香川大学 危機管理先端教育研究センター/長谷川修一 センター長)
「ライフライン、埋設管が被害を受けますから、ライフラインの復旧にものすごい時間が掛かると予想されます。一番影響を受けるのは下水です。トイレが使えなくなる」

自分が住んでいるエリアの液状化のリスクをハザードマップなどで確認して、備えについても考えてみてください。

香川県で実際に液状化が起こったケースも

75年前の昭和南海地震の写真(提供:坂出市)

香川県では75年前の昭和南海地震の時に、実際に液状化が起こりました。家が倒壊した他、堤防が液状化で崩れ沿岸に広がっていた塩田が水に浸かりました。

今後起きるとされている南海トラフ地震は75年前の地震よりも大きな地震になると想定されているため、液状化がより広範囲で起きる可能性もあります。液状化のリスクを知った上で避難について改めて考えてください。

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