【マレーシア】「駐在員」の条件見直し示唆[社会]

ビザ発給厳格化の可能性も

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クアラルンプール国際空港の駐在者サービス課の分所の開所式に出席したハムザ内相(中央)=11月30日(同氏のフェイスブックより)

マレーシアのハムザ・ザイヌディン内相は、「駐在員」として雇用パス(EP)を発給する外国人の条件について、政府内で見直しを進めていることを明らかにした。月内にも具体的な検討結果を発表する見通し。同国では近年、外国人の就労ビザ(査証)の新規取得・更新が難しくなっているが、要件を一段と厳格化することも考えられる。

1日付スターによると、ハムザ氏は見直しの理由について言及しなかったが、「月給3,000~5,000リンギ(約8万1,000~13万5,000円)の人材を『駐在員(エクスパッツ)』と呼べるだろうか」と述べ、地元人材と競合する可能性がある外国人への対応を変更する可能性を示唆。検討内容を取りまとめ、月末までに「駐在員」として扱う人材の具体的な条件を公表するとした。

マレーシアで就労する外国人駐在員に発給される雇用パスは、月給や雇用期間に応じて「カテゴリー1」「カテゴリー2」「カテゴリー3」に分かれている。

カテゴリー1は月給1万リンギ以上で雇用期間は最長5年、カテゴリー2は同5,000~9,999リンギで最長2年、カテゴリー3は3,000~4,999リンギで1年以下となっている。

今回ハムザ氏が問題視したのは、このうちカテゴリー3とみられる。2015年に新設された同カテゴリーは、給与水準や職種で地元人材と競合することが多い。このため入国管理局は19年に「ケース・バイ・ケース」で対応するとし、中でも地元人材で代替できる「営業マネジャー」「会計」「財務」などに関する申請は却下する方針を示していた。

人材紹介大手ジェイエイシーリクルートメント(JAC)のマレーシア法人社長、大西信彰氏は「カテゴリー3は家事労働者(メイド)などが主な対象で、日本人の利用はほぼない」と話す。日本人が利用するカテゴリー2などの雇用パス取得が難しくなるといった傾向は、今のところ見られないという。

ただ、外国人駐在員の雇用パス申請に当たっては、今年から政府系ポータルサイト「マイフューチャージョブス」にマレーシア人向けの求人を最低30日間掲載することが義務付けられたため、「(外国人の採用に当たって)手間が増えていることは確かだ」と指摘した。

スターによると、今年10月21日時点でマレーシアには外国人駐在員とその家族が14万598人滞在している。インド出身者が最も多く、次いで中国、日本、フィリピン、インドネシアの順となっている。

■空港でビザ発給、新規駐在員に

入国管理局は1日、クアラルンプール国際空港(KLIA)に駐在者サービス課(ESD)の分所を開設した。週7日24時間体制で対応し、これまで1カ月程度かかっていた新規駐在員へのビザ発給をその場で行う。

従来、新たに赴任した駐在員はスランゴール州プタリンジャヤにある駐在者サービス課の事務所で、パスポートに貼るビザのシールを受け取っていた。シールを受け取るまでは就労できない規則だが、受け取りに30日程度を要するため不便が生じていた。今後は入国審査後に空港内の駐在者サービス課の分所で必要書類を提出すれば、その場でビザのシールを受け取ることができる。

一方、入国管理局は雇用パスの更新についても手順を変更し、更新用のシールは郵便・物流事業者ポス・マレーシア(POS)を通じて事業所宛てに配送されることになった。これまでは駐在者サービス課の事務所まで取りに行く必要があった。首都圏の事業所では配送に2営業日、連邦直轄区ラブアンでは5営業日、その他の地域では3営業日程度かかるという。

入国管理局は先月15日に雇用パスの申請料金を改定。サービス向上に向けた費用を賄うためとして、800リンギに引き上げている。