「バリッ、バリッ」吹き飛んだ屋根 倒木、通行止めも 真岡で突風被害

突風で車庫兼物置の屋根の一部が吹き飛ばされ、母屋に倒れかかった現場=1日午前8時15分、真岡市西郷

 1日午前5時50分ごろ、栃木県真岡市北部から南部にかけて突風が発生し、7地区で車庫兼物置の屋根が吹き飛ばされたり、倒木やコンクリート製電柱が折れたりするなど計23件の被害が出た。けが人はいない。宇都宮地方気象台の職員3人が現地調査し、竜巻の可能性があるものの「特定には至らなかった」と結論付けた。風速は約35メートルと推定した。

 市などによると、23件のうち住家は9件、倉庫などの非住家が5件。上大田和や西郷、寺内など約8.5キロの範囲で被害が出た。

 同市西郷、会社員青山行夫(あおやまゆきお)さん(67)方東側に隣接する車庫兼物置の屋根の一部が数メートル吹き飛ばされたほか、北側の民家敷地内のコンクリート製電柱が折れるなどした。

 青山さんによると、午前6時前に「バリッ、バリッ、バリッ」という音がしたため屋外に出ると、玄関前を覆うように屋根があったという。青山さんは「自然が相手なので仕方ない」と復旧作業に追われていた。

 一方、同市下大田和の就労継続支援B型「真岡さくら作業所」では敷地内の高さ約30メートルのスギ1本が市道104号側に倒れた。乗用車が倒木に気付かず突っ込んだが、運転していた女性にけがはなかったという。撤去のため午前6時20分ごろから約1時間半にわたり市道は通行止めになった。

 このほか同市上大田和と大谷台町、熊倉町、熊倉3丁目、寺内の各地区で民家の屋根や外壁、フェンスが損傷する被害が相次いだ。同市西郷や下大田和のニラやイチゴのビニールハウス計6棟でも被害が出た。

 気象台は被害の痕跡が帯状に分布していたが断続的であったことや、推定した風向きが不規則であることなどから、竜巻の可能性はあるとする一方、「現象を推定できる情報が得られなかった」とした。強さを示す「日本版改良藤田スケール」は、6段階で最も弱い「JEF0」に該当すると判断した。

 高橋好幸(たかはしよしゆき)防災管理官は現地調査を終え、「被害が発生した地点地点が離れており、途中に被害のない空白地帯もある。経験上珍しいケースだ」と話した。

突風による被害現場を調べる宇都宮地方気象台の職員=1日午後、真岡市熊倉

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