長崎大が福島・双葉町と連携協定 震災から10年 住民の帰還、町の復興を支援

長崎大と包括連携協定を結び、河野茂学長(左)と署名した協定書を手にする福島県双葉町の伊澤史朗町長=1日午後、双葉町

 長崎大は1日、東京電力福島第1原発が立地し、同原発事故で全町避難が続く福島県双葉町と包括連携協定を締結した。放射線量の検査や健康管理などに取り組み、住民の帰還、町の復興を支援する。同大が福島県内の自治体と同様の協定を結ぶのは川内村、富岡町、大熊町に次ぎ4例目。
 同大は双葉町役場内に復興推進拠点(サテライトオフィス)を設置する。震災直後から福島県内で復興支援に携わる同大の原爆後障害医療研究所の高村昇教授や臨床心理士、保健師らが、町民の外部・内部被ばく線量を測定・評価し、健康相談や講演活動を通じて安全・安心を担保する。
 町内にある東日本大震災・原子力災害伝承館であった締結式では、同大の河野茂学長と双葉町の伊澤史朗町長が協定書に署名した。同伝承館長を務めている高村教授は取材に対し「震災から10年がたつが福島で双葉町だけ住民が誰一人戻れていない。帰還は困難が伴うが、川内村などで培ってきた知見、経験を生かし、町の復興に貢献したい」と話した。
 同町によると、震災前の人口は約7千人。震災後の2011年3月末、町民は埼玉県加須市へ集団避難した。役場機能は、いったん同市に移し、現在は福島県いわき市にある。双葉町内のほぼ全域がまだ避難指示区域になっており、居住者はいない。


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