施設の老朽化や入場者数の減少、収支の赤字から廃止の方向となっていた小田原競輪について、小田原市が存続の方針を固めたことが2日、分かった。新型コロナウイルスの感染拡大による「巣ごもり需要」の高まりで、インターネットによる車券販売が好調に推移。加えて経営改革の成果もあり、2021年度は5億円の黒字見込みとなるなど、経営改善の見通しが立ったと判断した。懸案の施設改修にもめどが付き、同日の市議会常任委員会で収支の黒字維持を条件に、存続の方針を報告した。
市側は常任委で「少なくとも今後5年間は安定的に競輪事業を継続できる」と説明した。
小田原競輪は戦後間もない1949年、復興事業として小田原競輪場(同市城山4丁目)で始まり、収益は市の道路や学校などのインフラ整備にも充当された。
一方で、レジャーの多様化やファン層の高齢化などで入場者数は73年度の125万人をピークに減少。コロナ禍前の2018年度には7万7千人に減った。売り上げも17年度は108億円で、ピーク時(1991年度の551億円)の2割程度に落ち込んだ。
2017年度には実質単年度収支が8100万円の赤字に転落。施設の老朽化も進み、市は18年11月に競輪場廃止の方向性を市議会に説明していた。
しかし、競輪選手会から存続を求める要望書が提出されるなどし、市は19年2月に最終的な結論を先送りし、経営改善や詳細な試算を行った上で存廃を再検討するとした。