性別にとらわれない「第3の制服」を導入しようと、栃木県佐野市の佐野高、同校付属中で、生徒が主体となって新制服作りを進めている。両校では男子が詰め襟、女子はセーラージャケットだが、性別を問わずに選択できるジャケットを考案した。来年4月の導入を目指しており、2日には同校で試作品の発表会が開かれた。
新制服作りのきっかけとなったのは、生徒会長の高校2年土屋吏輝(つちやりき)さん(17)。女子のみがスカートまたはスラックスを選択できることになっている両校。7月の会長選挙で「女子はリボン、男子はスラックスなどの決まりは自分らしさを尊重する社会の風潮にそぐわない」と訴え、新制服の導入を公約に掲げた。
青柳育夫(あおやぎいくお)校長は土屋さんの考えに賛同。夏休み明けの9月から準備が始まった。両校の生徒会役員ら計36人が中心となり、制服業者やデザイナーの協力を得て放課後に打ち合わせを重ねてきた。
試作品の発表会には生徒ら約30人が参加した。披露されたのは濃紺のジャケット。現在、女子はリボンを着用しているが、新制服にはネクタイを採用した。既存のスカートやスラックスと合わせればスーツスタイルとして着用できる。
土屋さんは「みんなのおかげで出来た。性別だけでなく、さまざまな多様性が尊重されるようになればいい」と笑顔を見せた。
共に制服作りに取り組んできた高校2年永島春佳(ながしまはるか)さん(17)は「制服が辛いという話を友人から聞いたことがある。周りの目を気にせず、誰もが選びやすい制服になってほしい」と話した。
両校の制服製作を手掛ける明石スクールユニフォームカンパニー宇都宮営業所の森下泰典(もりしたやすのり)さん(43)は「生徒が主体となった制服作りは全国でもまれな上に、3カ月という短期間で成し遂げた」とたたえた。
新制服は来年度の新入生から選択できるようになる予定。県教委によると、県立学校で生徒中心で「第3の制服」を作るのは把握している限りで初めてという。